ドイツのニュース

ドイツのエリート大学は南ドイツの3大学

   シャヴァン連邦研究相は1013日(金)、ミュンヘンのルードヴィヒ・マクシミリアンス大学(ミュンヘン大学)とミュンヘン工科大学、カールスルーエ工科大学がドイツ初のエリート大学に選ばれたと発表した。バイエルン州から2大学、バーデン・ヴュルテンベルク州から1大学という結果となり、ドイツにおける学術研究で南ドイツが優位にある現状が顕著になった。(20062月7日のニュースを参照)

 エリート大学コンテストの最終選考には、アーヘン工科大学、ベルリン自由大学、ブレーメン大学、フライブルク大学、ハイデルベルク大学、カールスルーエ工科大学、ミュンヘン大学、ミュンヘン工科大学、チュービンゲン大学、ヴュルツブルク大学の10大学が残っていたが、最終的に3大学だけがエリート大学に選ばれた。エリート大学は2011年までの5年間、年間約1350万ユーロの補助金を支給される。

このコンテストは、1)「最先端研究のための未来コンセプト」を促進するエリート大学部門、2)大学が特別なテーマで企業と外部研究機関と連携するエクセレンス・クラスター部門、3)研究後継者養成部門から成るが、3つの大学だけが3部門すべてで合格し、エリート大学と評価された。

 研究後継者養成部門(Graduiertenschulen)では、アーヘン工科大学、ベルリン自由大学、ベルリン・フンボルト大学、ベルリン工科大学、ボッフム大学、ボン大学、ブレーメン大学、ドレスデン工科大学、エアランゲン・ニュルンベルク大学、フライブルク大学、ギーセン大学、ハノーバー大学、ハイデルベルク大学、カールスルーエ工科大学、マンハイム大学、ミュンヘン大学、ミュンヘン工科大学、ヴュルツブルク大学の合計18のプロジェクトが選ばれた。プロジェクト当り年間100万ユーロの補助金が支給される。

 エクセレンス・クラスター部門(Exzellenzcluster)では、アーヘン工科大学(2プロジェクト)、ボン大学、ドレスデン工科大学、フランクフルト大学、ギーセン大学、ゲッティンゲン大学、ハノーバー大学、ハイデルベルク大学、カールスルーエ工科大学、キール大学、コンスタンツ大学、ミュンヘン大学(3プロジェクト)、ミュンヘン工科大学(2プロジェクト)の合計17のプロジェクトが選ばれた。プロジェクト当り年間約650万ユーロの補助金が支給される。

 バイエルン州の大学が5つのエクセレンス・クラスターと4つの研究後継者養成学校に、バーデン・ヴュルテンベルク州の大学が3つのエクセレンス・クラスターと4つの研究後継者養成学校に選ばれたのに対して、旧東独からはドレスデン工科大学が研究後継者養成部門とエクセレンス・クラスター部門で選ばれただけだった。ドイツの大学における南北及び東西の格差が顕著である。

 最終選考委員会は、ドイツ研究共同体(DFG)と学術委員会の代表者(外国のエリート大学の教授も含まれる)、連邦と州の学術相から成る。選考基準を学術的観点のみとし、政治的・地域的観点を考慮しなかった学術研究者の決定に対して不満を表明する政治家もいたが、学術研究者は学術的選考基準を貫いた。選考方法に関して学術研究者と政治家の間で意見の相違があったが、最終的には全員一致でエリート大学を決定したという。

 連邦政府は2011年までの5年間に全部で19億ユーロの補助金を支給して(連邦が75%、州が25%負担)、エリート大学の育成を支援する。シャヴァン連邦研究相は、「今日はドイツ学術研究にとって重要な日である」と語った。DFGと学術委員会の代表者は、初めて実施されたコンテストに応募した大学の質の高さを称えた。

 すでに2回目のエリート大学コンテストが始まっており、来年10月に最終選考結果が発表される予定である。今回落選した大学も再挑戦できる。

2006年10月16日)

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