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職業訓練市場はドイツ統一以来最悪の状況

   連邦雇用庁が1011(水)に発表したところによると、職業訓練市場はドイツ統一以来最悪の状況にある。9月末までに職業訓練の職場が決まっていない応募者は4万9500人で、1年前より9000人多かった(約18%増)。現在、54の職場に100人が応募している計算になる。旧東独では平均で1つの職場に応募者が3人。求人が応募者数を上回った州はなかった。

 職業訓練の職場に採用されなかった応募者と求人の差は34100人に6200人増えた。しかし、連邦雇用庁はこの差は今後数週間で縮小すると楽観的に見ている。昨年10月から今年1月にかけて応募者と求人の差は59%ほど縮小して11500人になったという。グロース連邦経済相は職業訓練協定の当事者に対して、再度集中的に尽力するよう要請した。

 200510月から20069月までに約46万人の職業訓練職場が連邦雇用庁に登録されたが、前年よりも1万2000人少ない。それに対して、職業訓練の職場を探す若者は前年より2万2000人増えて約763100人だった。その内の94%は職場を斡旋されたり、進学している(48%が職場を取得、11%が上級学校ないし大学へ進学、11%が就職、8%が職業訓練準備プログラムに参加、15%が兵役または任意の社会福祉ボランティア)。残る6%の若者(49500人)は進路が決まらなかった。ハルツIV法改正により、国から給付を受けるためには連邦雇用庁に申告しなければならなくなったことが、職場を探す若者の増加につながったという。

 また、大学授業料の導入に伴い、大学に進学せずに、職業訓練の職場に応募する若者が増えていることも応募者増加の要因になっている。大学入学資格を有する応募者数は対2005年比9%増の10300人だった。特に専門単科大学入学資格をもつ応募者の増加が著しいという。

 一方、経済団体によると、締結された職業訓練契約件数は商工業で4%増の303300件、手工業で1,6%増の約143800件であった。経済団体は、任意の職業訓練協定が機能していることを強調した。新規職場は5万5800件、実習職場は2万9600件と、2004年に合意した職業訓練協定の目標(毎年、新規職業訓練職場3万件、実習職場2万5000件)を上回った。職業訓練準備のための実習をした若者の約半分は実習後に職業訓練の職場を取得したという。

 10月からの新年度には職業訓練準備実習の職場数が4万2000件に引き上げられる。実習後に職業訓練の職場を取得できるように、実習の職場が斡旋の難しい若者に提供される。連邦雇用庁は実習生一人当たり192ユーロと社会保険料102ユーロを支払う。実習期間は最高で1年間。

 経済団体は、職業訓練に必要な学力なしに学校を卒業する若者が多すぎることを指摘して、学力の低い生徒に徹底して職業訓練の準備をさせるよう学校に求めている。職業訓練を途中で止める若者の5分の1は職業訓練をする能力に欠けているという。

 これに対して、金属産業労働組合は、経済界による任意の協定ではなく、職業訓練生を受け入れない企業から強制分担金を徴収する職業訓練職場創出制度を連邦政府に求めている。

2006年10月16日)

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