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連邦憲法裁判所、ベルリンの財政援助請求を却下

 連邦憲法裁判所は1019日(木)、連邦の財政援助を請求するベルリン都市州の訴えを却下した。裁判官は、ベルリンの財政状況は極端な緊急状態ではなく、現状では「州の緊急事態」を確認できないと判断した。ベルリン厳しい財政状況を自力で克服できる公算が大きいとしている。

 また、現行の財政調整制度が限界に達していることを指摘して、連邦と州の新しい財政調整規定を目的とする連邦制度改革を求めた。州の財政再建に対する連邦の資金援助義務と州の請求権利は現行の州間の財政調整における「異物」であり、そのような連邦補充交付金は、州財政の緊急状態が他の州と比較して極端な状況にあると評価された場合(極端な例外)にのみ「最後の手段」として認められる。しかも、その場合、外部からの資金援助なしには回避できない生存の危機に陥るほどの状態に達していなければならない。州が自力で可能なすべての努力をしたことが前提となるが、ベルリンの場合はそれに当てはまらないという。

 ベルリンは平均を上回る収入があるが、多大の支出を削減しなかった。営業税率の引き上げやさらなる民営化(州所有の住宅の売却など)により収入状況を改善することができると指摘している。裁判官は判決の言渡の際に、ベルリンのスローガン「貧しいけれどセクシー」に対して、「ベルリンはそれほど貧しくないからセクシーなのではないか」と鋭く批判した。

 ベルリン都市州のヴォヴェライト州首相は、一貫した財政立て直しを継続するが、さらに借入もする意向であることを明らかにした。「今の予算で15億~20億ユーロをどうやって節約できるか教えて欲しい」と語った。現在、ベルリンは連邦と他の州から年間約60億ユーロの資金援助を受けており、債務は616億ユーロに達している。ザラツィン財務相は、自力で克服するために、厳しい節約をしなければならないと語った。

 連邦憲法裁判所の判決を受けて、シュタインブリュック連邦財務相は、州の借入に厳しい上限枠を設けることを提案した。大半の州首相は判決を歓迎している。ザクセン州のミルブラント州首相は、「堅実な財政政策の勝利」と評価した。ブランデンブルク州のプラツェック州首相は、ベルリン都市州との合併のチャンスはなくなったと語った。それに対して、ベルリンのヴォヴェライト州首相は合併を有意義と見ている。

 バイエルン州のシュトイバー州首相は、「歴史的な判決だ」として、州も連邦も借入なしの財政に努めなければならないと語った。また、欧州連合の安定協定(単年度財政赤字が国内総生産比3%を超えた場合に制裁金を科す)に倣った国内の安定協定の設定や借入に対する早期警告システムの導入を求めた。

 ベルリン同様に、連邦補充交付金請求訴訟を起こしているザールランドとブレーメンの州首相は、今回の判決の影響はないと楽観的に見ている。両州はすでに1992年に勝訴して、連邦補充交付金を受けており、今回も勝訴のチャンスがあると強気である。しかし、今回の判決で両州のチャンスはなくなったという見方が強い。

2006年10月30日)

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