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全国内務相会議、外国人の滞在権に関する新規定を決定

   全国内務相会議は1117日(金)、人道的理由から一時的に滞在を認容されている外国人の滞在権に関する新しい規定を決定した。この規定は即時発効する。

 ショイブレ連邦内務相とミュンテフェリング連邦労働相は1114日(火)に滞在権に関する連邦法案で合意していたが、特にキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の州がこの法案に反対したため、全国内務相会議が連邦法案に対する先取りとして新規定を決定した。

 連邦法案は、一時的に滞在を認容されている外国人が仕事を見つけることができるようにするために、一定の前提条件を満たせば2年間の滞在許可を付与するという内容であった。それに対して、全国内務相会議が可決した新規定は、仕事をして生活費を賄うことのできる者だけが滞在許可を取得するという原則に基づいている。連邦法案が「最初に滞在許可、その後で就職」を原則としているのに対して、全国内務相会議の新規定は「最初に就職、その後で滞在許可」を原則とする。

 新規定では、滞在許可を申請できる前提条件として、仕事があること、十分にドイツ語が話せること、犯罪を犯していないこと、過激派やテログループと関係がないこと、子どものいる人は最低6年間、独身者は最低8年間ドイツに滞在していることが定められている。

 難民として認められていないが、人道的理由から一時的な滞在を認容されている外国人で、これらの前提条件を満たす者は20061120日(月)から2年間の期限付き滞在許可を申請することができる。まだ就職していない者には猶予期間が設けられ、20079月30日までに就職先を見つければ、滞在許可を取得できる。

 但し、申請者が滞在許可を取得するために証明しなければならない雇用の種類については規定されていない。バイエルン州のベックシュタイン内務相によると、申請者が自活できる状況にあることが決定要因となる。いくつかの400ユーロジョブをすることも可能であるし、子どものいる家庭の場合は一時的に社会扶助で収入を補充することも認められるという。

 これらの条件を満たさない者は強制退去させられることになる。現在、一時的に滞在を認容されている外国人は約20万人おり、その内の約10万人は6年以上滞在している。

 ベックシュタイン内務相は、一時的に滞在を認容されている外国人に対する公平な規定だと述べた。ニーダーザクセン州のシュネマン内務相は、仕事による自活を優先することで、1990年代に経験したような外国人の「社会福祉制度への移住」を阻止することができると語った。

 連邦労働省は全国内務相会議の決定を「正しい方向への第一歩」と評価している。ミュンテフェリング連邦労働相は、2007年の連邦法制定までの「暫定的解決策」として評価する一方で、雇用関係の証明を滞在権の条件とすることに反対であることを強調した。連邦政府は外国人の滞在許可に関する連邦法を2007年に制定する計画である。

 ボェーマー同化担当大臣は、「該当する外国人が自活できるようになるので、ドイツ社会における外国人の受け入れと同化が改善する」と語った。連邦政府のスポークスマンは州内務相の合意を「原則的にポジティブ」と評価した。それに対して、緑の党は厳しく批判している。教会関係者は失望を表した。

2006年11月19日)

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