オバサンの独り言
クリスマス一色の市内は買い物客で賑わっている。ドイツ経済は好調
のようで、国の税収入は増え、 しかし、統計上は好景気なようだが、どれだけの人がその恩恵を受けているのだろうか。 企業は国際競争で生き残るために合理化に努める のが常である。大幅な人員削減、不振部門の売却、生産拠点の外国移転などを徹底した企業が収益を高め、その株式が上昇する。それに比例して、失業者が増える。 不振が続く事業部門の再建に失敗したあるドイツ大手企業は、あるアジア企業に多額の「持参金」まで付けてその事業部門を売却した。売却契約を締結した後の記者会見で、大手企業の社長は、「従業員の職場が確保される最善の解決策だ」と誇らしげに述べた。まるで、従業員のためを思って売却したかのように。 ところが、売却された事業部門は1年後に倒産し、従業員は職場を失った。アジア企業はこの事業部門が持参した多くの特許と商標には関心があったが、ドイツで生産する気は初めからなかったようである。
時を同じくして、この大手企業の監査役会が取締役の報酬の 事業再建に失敗し、信頼できるパートナーを見つけることもできなかったのは明らかな経営ミスであるにもかかわらず、売却のお陰で収益が上昇すれば、経営陣の報酬は急増する。3%や5%の値ではなく、二桁単位で上昇するのである。極端な言い方をすれば、首切りをすればするほど、経営陣の報酬が上昇するという構図である。 会社の長期的発展ではなく、短期的な収益増だけに汲々としているトップマネージャーが多くなった。伝統ある技術の継承や研究開発なんかするよりも、企業買収した方が手っ取り早いという近視眼的な考え方が横行している。これでは技術大国といわれたドイツの行く末が心配になる。 景気が上昇し、失業者が減少する、大変喜ばしい展開になっている。従業員は不景気の時には賃上げを断念し、賃金引下げも受け入れて我慢してきたのだから、景気が良くなれば、企業はトップマネージャーだけに高額なボーナスを払うのではなく、一般従業員にも利益の一部を還元するのが当然だろう。
好調な業界における賃上げを求める声が政治家の間でも聞かれ始めたら、早速、経営者団体は従業員の「行き過ぎた要求」を警告した。経営者は従業員に節度を求めているのである。では、経営ミスをした経営陣の報酬の (2006年12月5日)
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