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子育てしやすい雇用環境は経済立地要件

 フォン・デア・ライエン連邦家族相とドイツ経営者連盟のフント会長は1219日(火)、連邦家族省の委託でドイツ経済研究所(IW)が1000社以上の企業を対象に行ったアンケート調査結果「2006年度企業モニター/家庭にやさしい雇用環境」を発表した。全体的に、家庭にやさしい雇用環境に対するドイツ企業の意識が高まっていることが明らかになった。

 フォン・デア・ライエン連邦家族相は、「ドイツ経済界が家庭にやさしい雇用環境を競争上の利点として捉える傾向が見られるが、依然として改善しなければならない問題が多い」と語った。技術革新的かつ未来志向の企業は子育てしやすい雇用環境を戦略的マネジメント手段として認識しているという。

 調査結果によると、71,7%の企業が「家庭にやさしい雇用環境は自社にとって重要ないし極めて重要だ」と回答した。3年前は46,5%だった。23,4%の企業は家庭にやさしい雇用環境のための対策を7つから9つ実践している。2003年は9,4%に過ぎなかった。14,3%の企業は1012の対策を講じている(2003年:3,4%)。従業員にとって特に重要な対策としては、フレキシブルな労働時間モデルと積極的な子育て期間形成が挙げられ、3年前よりもこれらの対策を実施する企業が増えている。

 また、家庭にやさしい雇用環境を企業の魅力を高める重要な手段と見る企業が増えている。83,4%の企業は、家庭にやさしい雇用環境対策は優秀な従業員を確保、獲得するために多大に貢献していると回答した。81,1%の企業は、家庭を意識した人事で従業員の満足度を高めたいと答えている。例えば、従業員の在宅勤務も可能にする「信頼ベースの労働時間」を導入したり、労働時間について個別合意する企業が増えている。

 フォン・デア・ライエン連邦家族相は、「良い仕事をするために、必ずしも職場にいる必要はない。パソコンは女性のために発明されたのではないかと思う」と語った。同相は、ドイツが欧州比較ではまだ相当に遅れていることも強調した。但し、スタートは遅れたが、大きな進展が見られるという。経済成長において優秀な労働力を必要とする者は、仕事と家庭の両立を避けて通ることはできない。以前は車の支給が魅力になっていたが、これからはフレキシブルな労働時間モデルや積極的な子育て期間の形成が魅力になるという。

 アンケート調査では、企業内幼稚園の提供における「大きな改善の余地」が明らかになった。企業内幼稚園を提供している企業は3,5%に過ぎなかった。また、他の欧州諸国に比べて、管理職もパートタイム勤務できる環境に欠けている。

 フント会長は、家族政策が事業所でも周辺テーマから中核テーマになってきており、「意識の変遷」が見られると語った。家族政策はコストをもたらすのではなく、コストを節約することを理解する企業が増えてきたという。

2006年12月22日)

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