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連邦政府、年金受給開始年齢の引き上げ時期を前倒し

 連邦内閣は2月1日(水)、年金受給開始年齢を67歳に引き上げる時期を2029年に前倒しすることを決定した。連立政権は連立協定で、2012年から2035年までに段階的に年金受給開始年齢を65歳から67歳に引き上げることで合意していたので、6年前倒しすることになる。

 ミュンテフェリング連邦労働・社会相の計画によると、2012年に65歳になる人(1947年生まれ)は1ヶ月長く働かなければならず、毎年1ヶ月ずつ加算されていく。2024年からは毎年2ヶ月ずつ加算される。1958年生まれの人は66歳で、1964年以降に生まれた人は67歳で年金を受給できる。67歳になる前に退職する場合は、年金を満額受給できない(1年当り3,6%削減)。但し、45年以上年金保険料は納めた人は、将来も65歳で年金を満額受給できる。

 ミュンテフェリング連邦労働・社会相は3月8日の閣議に年金保険報告書を提出する際に、前倒しの詳細について発表する予定で、法案は遅くとも2007年に採決される見通しである。同相は、前倒しにより年金保険金庫の財政負担が軽減され、保険料率を20%以下に抑え、連邦補助金を安定化することができると述べた。来年予定されている年金保険料率の19,5%から19,9%への引き上げは変わらないという。

 ゼーホーファー農林・消費者相は、67歳に引き上げるためには、中高齢者の雇用促進を図らなければならないと語った。労働組合は、「年金受給開始年齢の引き上げは偽装した年金削減だ」と批判している。それに対して、ドイツ使用者連盟のフント会長は、高齢化社会では年金受給開始年齢の引き上げは避けられないとして、連邦内閣の決定を歓迎した。

 ミュンテフェリング連邦社会・労働相は3月に年金保険報告書を提出しなければならないが、何らかの対策を講じなければ、年金保険財政が極めて厳しい状況にあることが明らかになり、年金保険料引き上げを余儀なくされる。この年金保険財政難が3月の州選挙に影響することは必至で、同相は保険料率を20%以下に抑えるために年金受給開始年齢引き上げ時期の前倒しを不意打ち決定したと見られている。しかし、SPD党内では3月の州選挙を控えて、この前倒しに反対する意見が多かった。

2006年2月7日)

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