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連邦議会、医薬品法改正案を可決

 連邦議会は2月17日(金)、法定疾病保険の医薬品支出の抑制と保険料引き上げの回避を目的とする医薬品法改正案を可決した。与党が賛成、左派新党と自由民主党が反対、緑の党が棄権した。医薬品法改正は今年4月1日に発効する。連邦政府はこの法改正により、法定疾病保険金庫の医薬品支出を今年は10億ユーロ、来年からは年間13億ユーロ削減する計画である。昨年の医薬品支出が230億ユーロに16%増加したことが同法改正の背景にある。

 医薬品法改正の要旨は次の通りである。

     処方箋を義務付けられている医薬品の価格(法定疾病保険金庫が払う固定額)は今年4月1日から2年間凍結される。

     薬品産業が薬局に無償品の形で与えている現物割引が禁止される。これまでは、薬局はメーカーから無償で受けた薬品の代金を疾病保険金庫に請求していた。但し、今後も価格割引と大口割引は認められる。

     同法改正は経済的な医薬品治療を医者に求めており、処方する医薬品のコストと量に対する各医者の責任が従来よりも大きくなる。処方する医薬品が高すぎたり多すぎる場合には(平均の治療コストを10%ほど上回ると)、処方した医者は疾病保険金庫からの報酬を一部カットされる。

     医者の医薬品ソフトウェアは、そのソフトウェアを無償提供した薬品会社の医薬品が最初に表示されないように設定なければならない。

     疾病保険金庫は、医者が処方した医薬品が疾病保険金庫の固定額を30%ほど下回る場合には、被保険者の自己負担(5~10ユーロ)をなくすことができる。これは、被保険者ができるだけ安い医薬品を医者に処方してもらうように誘導する措置である。但し、すべての疾病保険金庫が、どの医薬品に対して被保険者の自己負担をなくすかを共同決定しなければならない。

     患者の負担の増減は、薬品メーカーが同法改正に反応して特定の医薬品を値下げするかどうかに依存しており、その行方は未定である。薬品メーカーが値下げしない場合は、疾病保険金庫が払う固定額と実際の薬品価格の差額は患者が自己負担しなければならない。そこで、各疾病保険金庫は、被保険者の自己負担分に相当する割引について薬品メーカーと交渉することができる。薬局は、それぞれの疾病保険金庫がこの割引契約を締結しているかどうかを確認してから、被保険者から自己負担額を請求しなければならない。

2006年2月22日)

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