ドイツのニュース

介護保険の支出増加

   連邦保健省によると、法定介護保険の2005年の支出は前年比1,2%増の178億6000万ユーロ、収入は4,4%増の175億ユーロ、欠損は3億6400万ユーロだった。1995年に導入した準備金は2004年の34億ユーロから30億5000万ユーロに縮小した。これは2か月分の支出に相当する。

 欠損は2004年(8億2300万ユーロ)よりも大幅に減少し、収入は7億3500万ユーロほど増加した。これは特に、子供のいない被保険者を対象とする追加保険料の導入に起因している。この追加保険料の導入がなければ、収入は約3600万ユーロしか増加しなかった。収入の伸び悩みは低い賃金増加率、高い失業率、社会保険加入義務のある就業者の減少に起因している。

 支出では、介護手当てへの支出が約1%減少したが、在宅介護サービスへの支出は1,2%増、施設介護への支出は2%増だった。これは、家族に家で介護される要介護者が減少していることを示している。

 シュミット連邦保健相は、介護保険を新たな状況に適合させ、介護資金を持続的に保証することを目的として、2007年までに介護保険改革を実施する方針であることを明らかにした。今年中に改革案を提示する予定である。しかし、野党は政府の介護保険改革に懐疑的である。自由民主党は、持続的な介護保険は積み立て方式に切り替えていかなければ達成できないと主張している。

 与党は連立協定で、2006年末までに介護保険改革案を提示することで合意している。認知症患者へのサービスの改善、在宅介護の促進、コストの高い施設介護への支出の縮小、法定介護保険と民間介護保険の資金調整、法定保険における積み立て方式の整備、2020年以降に備えた準備金の増加などが計画されているが、その詳細は決まっていない。

 法定介護保険は雇用者と被雇用者が納める保険料(保険料率は名目上の所得の1,7%)で賄われており、子供のいない被保険者の保険料率は2005年1月1日に0,25ポイント引き上げられて1,95%になった。社会民主党は民間保険から法定保険への資金移転あるいは民間保険の廃止及び法定保険への統合を要求している。

2006年3月20日)

戻る