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旧東独の人口減少が深刻化

   ベルリン人口動向研究所の調査結果によると、特に旧東独、ルール地方、ザールランド州における人口減少が深刻である。これらの地域では、高齢化と人口減少の進展が加速すると予想される。若者と高学歴の人は職場を求めてバーデン・ヴュルテンベルク州やバイエルン州に移動するため、地域に残るのは高齢者や失業者、学歴の低い人だけになる。低学歴かつ失業中の男性は家庭を築くことができないという

 1990年以降、旧東独では出生率が急激に低下しているため、親になる世代が減少している。遅くとも2015年には旧東独は「人口統計上の転換のショック」を経験することになると、専門家は警告している。ドイツ統一後、旧東独の出生率は平均で0,77に低下した。

 調査結果では、すでに低くなっている出生率がさらに低下していることが明らかになった。現在、ドイツの出生率(女性一人が産む子供の数の平均)は1,36である。安定した人口のためには 2,1が不可欠といわれる。連邦統計局によると、2005年に生まれた子供の数は約68万人で(2004年は706000人)、戦後初めて70万人を下回った。この減少傾向はさらに加速し、2050年までに新生児の数が半減すると専門家は予想している。年金制度と経済にとって、特に旧東独にとって、最悪のシナリオになることが懸念される。

 女性のほぼ3分の1は生涯子供を産まない。最初の子供を産む年齢は平均で20代後半である。2人目、3人目を産む女性は少ない。2003年以来、死亡数が出生数を上回り、ドイツから外国に移住する人とドイツに移住してくる人がほぼ同数になったことから、人口が減少している。8300万人で頂点に達した人口は予想以上のテンポで下降しているという。同研究は、将来、子供を産める年齢の女性が大幅に減少するために、人口減少は一層加速すると警告している。

 同研究所のフライシュ所長は、「この展開を止めることはできないが、うまくいけば鈍化させることはできる」と語った。但し、保育施設の拡充でだけでは十分でないという。フォン・デア・ライエン連邦家族相は同研究所の調査結果を重大な警告と受け止めており、「親にやさしい社会にしなければならない。経済界は子供を「個人の問題」として無視することがもはやできなくなってきた」と語った。

 ドイツの家族政策への年間支出は1992年以来400億ユーロほど増えて1000億ユーロに達している。これは国内総生産の4,5%に相当する。しかし、人口全体に占める新生児の割合(人口1000人当り新生児 8,2人)は欧州連合で最低である。そこで、ノルドライン・ヴェストファーレン州の家族相は家族政策を見直すよう連邦政府に求めている。

 連邦議会家族委員会のグリーゼ委員長は、「子供にやさしい社会になるように、もっと努力しなければならない」と語った。最大の課題は仕事と家庭の両立だとして、保育施設の整備を要求している。欧州で出生率の高い国では、女性の就業率が高く、保育施設が整備されているという。現在、連邦政府は保育施設の拡充と新しい父母手当ての導入を計画している。

2006年3月20日)

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