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連邦内閣、扶養法改正案を閣議決定

    連邦内閣は4月5日(水)、扶養法改正案を閣議決定した。扶養法改革の目的は扶養請求権における子供の優遇である。改正案では、扶養義務者が低所得の場合、嫡出であっても非嫡出であっても未成年の子供が扶養順位で1番目に置かれる。現行の法律では、未成年の子供は前配偶者と今の配偶者と同等の立場に置かれている。

 また、扶養義務者の所得がすべての扶養権利者を扶養するに十分でない場合は、子供のいない前配偶者の扶養順位が扶養義務者の新しい家族の次になる。従って、扶養順位は、1位が未成年の子供、2位が子供を世話する親(結婚しているかいないかは問題にならない)、3位が前配偶者。

 但し、長期間(10~15年以上)結婚していた前配偶者(主婦)は、「連帯」の理由から、扶養義務者の今の配偶者と同等の2位に置かれ、短期間だけ結婚していた、子供のいない前配偶者が3位になる。改正案では特に、短期間の結婚生活後に離婚した、子供のいない前配偶者の自己責任が大きくなる。

 さらに、裁判所は扶養費の額と支払い期間を制限することが容易になり、離婚後の前配偶者の扶養請求を期限付きにすることができる。現行の法律では、離婚した配偶者は子供が8歳になるまで前配偶者の扶養費で育児に専念することができたが、将来は裁判所が「前配偶者に働くことを要求できる」と判断すれば、仕事を探さなければならない。その際、結婚期間中の社会的・経済的ステータスは離婚後に要求できる仕事の決定的要件とはならない。

 仕事をしていない配偶者(通常、女性)は離婚後、できるだけ早く生活費を自分で稼がなければならない。これまでのような離婚後の「生活水準の終身保証」がなくなり、離婚後の自己責任が強化される。また、契約による扶養請求の放棄は、公証人に認証さえた場合にのみ有効となる。

 ツィプリース連邦法務相によると、法律改正は社会的発展(離婚の増加、非嫡出の子供の増加、二家族の増加)を考慮した結果である。新しい家庭を築き、生活していける第二のチャンスを離婚者に与えなければならないという。現在、未成年の子供のいる母親の64%が働いている。「前配偶者に要求できる仕事」については、裁判所が個々のケースで判断する。

 2004年は213000組の夫婦が離婚した。これは1993年比37%増。現行の法律による扶養請求では、多くの子供が社会扶助を受けなければならない状況に置かれている。2004年は112万人の未成年の子供が社会扶助を受けていた。これは社会扶助受給者全体の38,4%に相当する。

 扶養法改正は2007年4月1日に発効する予定である。新しい扶養法はすでに離婚している人にも適用できる。旧法と新法による扶養額の格差が10%以上になる場合には、離婚者は扶養の変更に対して裁判所に訴えることができる。ツィプリース連邦法務相は、大きな変更なしに同法案が成立するものと見ている。

2006年4月10日)

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