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連邦内閣、2007年度税制改正法案を閣議決定

 連邦内閣は5月10日(水)、2007年度税制改正法案を閣議決定した。シュタインブリュック連邦財務相は、2007年1月1日に発効予定の税制改正による増収は2007年が約42億ユーロ、2008年が約54億ユーロになると見積もっている。改正法案の要旨は次の通りである。

     2007年1月1日に「富裕税(Reichensteuer)」を導入する。年間所得が25万ユーロ(独身者)/50万ユーロ(既婚者)以上の高額所得者に3%の「富裕税」を上乗せする。その結果、最高税率が42%から45%に引き上げられる。但し、2007年は自営業者と自由業者のすべての利益収入は富裕税の対象から除外される。2008年に企業税改革が実施されれば、すべての高額所得者が富裕税の対象になる。

     付加価値税を2007年1月1日に現行の16%から19%に引き上げる。その内2%分の増収は連邦と州の収支改善に、残る1%分は賃金付随コストの引き下げ(失業保険料の6,5%から4,5%への引き下げ)の財源に充てる。社会的バランスを守るために、現行の7%の付加価値税(食料品)は変わらない。

     通勤交通費の控除(Pendlerpauschale)は原則的に廃止される。但し、「長距離通勤者に対する過酷な扱い」を避けるために、21kmからの通勤交通費は「必要経費ないし営業費」として控除できる(1km当り30セント)。

     児童手当(Kindergeld)と児童控除(Kinderfreibetrag)の年齢制限が27歳から25歳に引き下げられる。但し、経過規定として、1983年以降に生まれた子供に対する支給は教育期間中の子供が25歳になるまで、1982年生まれの子供に対する支給は教育期間中の子供が26歳になるまでとする。

     利息収入に対する貯蓄控除(Sparerfreibetrag)の上限は独身者が750ユーロに(現行は1370ユーロ)、夫婦が1500ユーロ(2740ユーロ)に引き下げられる。

     自宅の仕事部屋の控除条件が厳しくなる。すべての仕事を自宅の仕事部屋でしている場合にのみ、控除の対象となる。例えば、教師は自宅の仕事部屋を控除できなくなる。

  与党は、2007年には再び新規債務が投資を下回り、EUの「安定・成長協定」の条件(財政赤字が国内総生産比3%以下)も達成できると見ている。それに対して、野党は特に付加価値税引き上げを厳しく批判している。

  一方、野党法律専門家はこの税制改正法案の合憲性を懸念しており、連邦憲法裁判所への訴訟が予想されている。

2006年5月15日)

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