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全国内務相会議、帰化政策の基本方針で合意

   全国内務相会議は5月5日(金)、帰化準備コースへの参加義務と全国統一したドイツ語テストの導入を中核とする帰化政策の基本方針で合意した。主な要旨は次の通りである。

     全州は、ドイツ国民としての基礎知識(ドイツ国とその法規範に関する基礎知識)を習得する帰化準備コースを帰化申請者に提供する。

     連邦移民・難民局が全国統一した帰化準備コースコンセプト(帰化のための統一標準)を作成する。

     どのような方法で、どの組織団体(例えば市民大学)が帰化準備コースを実施するかの決定は各州に任される。

     帰化準備コース参加者が十分な知識を取得したかどうかの試験の方法も各州に任される。

     帰化準備コースは、ドイツ語の筆記試験と口頭試験、憲法擁護に関する基本的質問から成る共通テストをもって終了とする。この帰化テスト合格証明書が帰化の条件になる。

     通常は、帰化申請者が連邦移民・難民局の基準に則った帰化準備コースを無事終了した合格証明書を提示すれば、基礎知識の取得が証明されたこととする。

     例えば、申請者がドイツのアビトゥーア(高校卒業資格試験)に合格した場合、自らのイニシアチブで必要な基礎知識を習得した場合には、帰化準備コースへの参加は強制されない。そのために、連邦移民・難民局のコンセプトが帰化入門書の形で公表される。

     帰化は厳粛に執行される。但し、基本法に手をおいた宣誓を導入するか、いわゆる「国民告白」を導入するかは各州に任される。

     90日以上の日数罰金に科された人には帰化請求権がない(これまでは180日以上の日数罰金)。複数の日数罰金を科せられた場合は、すべて累積される。

     帰化申請するためはドイツ滞在年数が8年以上でなければならないが、例外ケースでは6年に短縮することもできる。特に社会への同化に努めている人(例えばボランティアの消防団に所属)は6年後に帰化することが可能である。

 社会民主党(SPD)の州はヘッセン州やバーデン・ヴュルテンベルク州が計画していた広範な知識及び価値観のテストに反対していた。それに対して、キリスト教民主同盟と社会同盟(CDU/CSU)の州は、ドイツ国籍を取得するのに帰化準備コースへの参加だけでは不十分だと主張していた。

 バイエルン州のベックシュタイン内務相によると、帰化準備コースの最後に必ずしもテストは強制されず、他の形式(例えば、役割遊びなど)で参加者のドイツ国民としての知識を試験することも考えられるという。ヘッセン州の内務相は、帰化の前提条件を満たしている外国人が出来るだけ多く帰化することがドイツにとって重要であると語った。ショイブレ連邦内務相は、統一した帰化標準を安定した社会秩序のための正しい解決策と評価している。

 一方、全国内務相会議は、外国人移民に提供される同化コースを拒否する人に対しては国の支給を削減することでも合意した。

2006年5月15日)

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