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OECD、ドイツの移民問題を指摘

    経済協力開発機構(OECD)が2003年度国際学習到達度調査(PISA)の一貫として行った「移民の教育状況」に関する特別評価結果が5月15日(月)に発表された。これは、移民の割合が高い17カ国の15歳の移民系若者の学力を評価したものである。スウェーデン、オーストラリア、カナダにおける移民の同化が高く評価されたのに対して、ドイツの評価は悪かった。

 現在、ドイツにおける外国人の子供の数は約110万人で、その内の約50万人はトルコ人である。特に移民系二世にトルコ人が多い。調査結果では、トルコ人の学力不足が深刻で、ロシア人や旧ユーゴスラビア人はトルコ人よりも成績が良かった。

 ドイツ人の子供と移民の子供の学力には平均で1年間の格差がある。また、ドイツ滞在年数が学力にポジティブな効果をもたらしていないことが明らかになった。他の国とは異なり、移民のドイツ滞在年数が長くなってもその子供の学力は向上せず、かえって悪くなっている。欧州諸国では移民系二世の学力は一世よりも良いが、ドイツとデンマークだけは例外だった。

 ドイツで生まれて、最初からドイツの学校制度で学んでいる移民系二世の学力は後からドイツに移住してきた移民系一世よりも低かった。移民系二世の20%以上が数学と読解力で最も低い評価段階(1)にある。ドイツで生まれた移民系二世の40%以上は職業教育に必要な数学能力に達していなかった。

 OECD教育研究者のシュライヒャー氏は、ギムナジウム/レアールシューレ/ハウプトシューレに進学路が分かれる時期が早すぎることを移民の学力不足の要因の一つとして挙げている。移民の子供の能力を早い時期に判断して、ドイツ語力を促進しなければならないという。また、移民の同化問題が雇用市場にも直接の影響を及ぼしていることを指摘した。ドイツ、フランス、ベルギーにおける移民の失業率は一般市民の2倍から3倍であるという。

 シャルヴァン連邦教育相は、この調査結果はドイツの対応が遅すぎたことを示しているとして、移民の同化を改善するために幼稚園と学校への投資を増やす意向であることを明らかにした。特に3~6歳の子供のドイツ語教育を強化するという。

 ボェーマー同化担当大臣は、幼稚園から、学校、職業教育までの体系的なドイツ語力促進が重要であるとして、移民の子供の早期ドイツ語教育を促進するよう各州政府に呼びかけた。バイエルン州のシュトイバー首相は、PISA調査結果はドイツ語力が学力の基礎であることを示していると語った。教育専門家は、特に親の世代がドイツ語を習得しようという意志に欠けていることを批判している。

2006年5月29日)

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