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連邦議会、ハルツIV法改正案を可決

 連邦議会は6月1日(木)、失業手当 II の濫用を阻止するためのハルツIV法改正案を可決した。与党は再度の同法改正によりハルツIV(失業手当 II )コスト増加の抑制を目指しており、今年は 5億ユーロ、2007年からは年間15億ユーロ(連邦12億ユーロ、地方自治体 3億ユーロ)を節約できると試算している。約50項目の変更から成る同法案は今年8月1日に発効する予定である。改正案の要旨は次の通りである。

     厳しい制裁: 失業手当 II 受給者は斡旋された仕事を1回拒否すると、失業手当 II だけでなく家賃と暖房費も30%削減される。2回目の拒否ではさらに30%削減され、1年間に3回拒否すると全給付が打ち切られる。その後は現物給付を受ける。現行の法律では、4回の拒否の後にこの制裁が科される。現在、若者(成人)の場合、最初の拒否では失業手当だけが打ち切られ、家賃と暖房費は支給されているが、法律改正後は2回目の拒否で家賃と暖房費も打ち切られる。

     即時斡旋: 仕事をする用意があるか否かをテストするために、失業手当 II を新規申請する者にはすぐに仕事を斡旋しなければならない。

     証明責任の転換: 一緒に生活しているパートナーについては、1年以上同居している場合、共同の家計である場合、あるいは、両者の子供、扶養者がいる場合には、雇用庁はこれを相互扶養義務のある婚姻に類似した関係(生活共同体)とみなして、相応に少ない給付にすることができる。疑わしいケースでは、当事者が反証をしなければならない。これまでは国が反証しなければならなかった。

     厳しいコントロール: すべてのジョブセンター(職業斡旋所)は給付の濫用を捜し出す外勤を設置しなければならない。長期失業者はいつでも連絡が取れなければならない。官庁間のデータ交換を容易にして、国内外に密かに隠されている財産の追求を強化する。

     財産控除額の引き上げ: 老後のための蓄え(財産)の控除額を年齢当り200ユーロから250ユーロに引き上げる(60歳の場合は控除額が12000ユーロから15000ユーロに引き上げられる)。但し、他の財産形態については控除額を年齢当り200ユーロから150ユーロに引き下げる。

     失業者の起業補助金: 従来の Ich-AG 規定が終了することから、それに代わる起業補助金が導入される。起業する失業者には失業手当額+一律300ユーロの起業補助金が 9ヶ月間支給される。雇用局が審査して起業補助金の継続を認めれば、さらに6ヶ月間、一律300ユーロの起業補助金が支給される。雇用局の審査が従来よりも厳しくなる。

2006年6月13日)

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