オバサンの独り言

 

 サッカーのワールドカップが 6月9日にミュンヘンで開幕した。それまでは肌寒い雨の日が続いていたが、待ってましたとばかりに「バイエルン日和」になり、W杯フィーバーが一気に上昇した。ミュンヘン市内は朝からサポーターたちが続々と繰り出して、W杯一色になった。

 市内のビヤガーデンやオリンピック公園には大画面が設けられ、ドイツ対コスタリカの開幕戦を観る人々で熱気に包まれた。ドイツが 4 対 2 で勝ち、幸先良いスタートを切ったので、ミュンヘンのレオポルド通りはまるで優勝したかのようなお祭り騒ぎ。初戦の勝利でこの有様なのだから、もし本当に優勝したらどうなるのだろうか・・・。

 サッカーといえばビール、ビールといえばミュンヘン。1リットルジョッキーの生ビールを飲みながら、ビヤガーデンで観戦するのも乙なものではあるが、できることなら競技場で生の試合を観たいと思う人が多いのではないか。しかし、入場券を手に入れるのは容易ではない。

 ところが、観戦したくないのに、観戦しなければならない人たちがいる。全部で 64の試合があるが、どの試合にも最低 1人の閣僚が来賓席に座って、外国からの来賓を接待するよう、メルケル連邦首相から閣僚全員にお達しがあったのだそうだ。

 開幕戦ではメルケル首相初め 5人の閣僚が観戦したが、試合によっては観戦する閣僚を見つけるのがたいへんなのだとか。しかも、サッカーに興味のない閣僚には観戦はうれしくも楽しくもないのだろう。どうにか全試合に閣僚をあてることができたらしい。チケットが手に入らなかった人にはうらやましい限りである。

 1ヶ月のW杯期間中にドイツに来る人たちはサッカーファンや観光客だけではない。一儲けを狙う売春婦や物貰い、スリ、ダフ屋も続々とやってくる。東欧からの物貰い集団は身体障害者などを装って物貰いをする悪質な組織で、警察が市民に警戒を呼びかけている。警察によると、物貰いは儲かるのだそうだ。

 新しい商売も現れた。ご存知のように、ドイツでは飲料水の使い捨て容器にはデポジット制が採用されている。競技場やパブリックビューイング会場の周辺では、サッカーファンが飲み捨てたペットボトルや缶を集めてデポジットの返金(25セント)で儲ける人たちが「町をきれいにしている」という。開幕試合の日には約1000ユーロの収入があった「空容器収集屋」もいたらしい。

 日本は残念ながら初戦で逆転負けし、最悪のスタートとなったが、W杯は始まったばかり。7月9日のベルリンでの決勝戦まで一喜一憂しながらサッカーの祭典を楽しみたいものである。

2006年6月13日)

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