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連邦国家制度改革に関する憲法改正、成立

 連邦議会は6月30日(金)、連邦国家制度改革に関する憲法改正案を可決した。賛成428票、反対162票、棄権3票だった。1週間後の7月7日(金)、連邦参議院は賛成14州、反対1州(メクレンブルク・フォアポメルン州)、棄権1州(シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州)でこの憲法改正案を可決した。その結果、7年間の論争を経てようやく、連邦国家制度改革のための憲法改正が成立した。2007年1月1日に発効する。憲法改正には連邦議会議員(定数)の3分の2及び連邦参議院の表決数の3分の2の同意を必要とする。

 この憲法改正には戦後最大の広範な変更事項(約40項目)が盛り込まれている。連邦国家制度改革の目的は、連邦と州の管轄権を明確に分離して、政治的決定プロセスを敏速化し、責任を透明化することである。

 そのために、連邦参議院の同意を必要とする法律の数が約半分に削減され、州は連邦参議院の共同決定権の一部を失う。その代わりに、連邦は特定の領域(法務、環境、教育)における単独管轄権(例えば、学校制度、行刑、州公務員の俸給、閉店法、入学認可と卒業資格を除く大学制度など)を州に譲渡する。但し、学術研究の促進では、連邦は共同決定権を取得し、資金援助も可能になる。学校制度は州の管轄となるが、連邦は大学については共同決定権を取得する。

 連邦政府も各州首相も連邦国家制度改革が連邦と州の権限を強化するという見解で一致している。メルケル連邦首相は、「この憲法改正により、変更する勇気を示した。進路が正しく定められた」と述べた。バイエルン州のシュトイバー州首相は、「大連立政権なしには連邦国家制度改革を成立させることはできなかった」と語った。多くの州首相は、この改革により、歴史的に問題のある中央集権制を阻止し、州の権限を強化することができると歓迎している。

 1段階の連邦国家制度改革は成立したが、連邦と州の財政関係については州ごとに意見の相違が著しく、今秋には「第2連邦国家制度改革」の審議が始まる予定である。連邦政府は第2段階の連邦国家制度改革も大連合政権の下で、 すなわち2009年までに成立させたい考えである。シュタインブリュック連邦財務相は、基本法第115条の債務規定を改正して、州予算の債務にも欧州連合の安定協定を模範にした規定を適用することを提案しており、州首相の間でも賛成する意見が聞かれる。

2006年7月11日)

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