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外国へ移住するドイツ人が増えている

 

 旧東独の失業者、有能な研究者、心臓専門医は外国への移住という共通の目標を持っている。連邦統計局によると、2005年に外国へ移住したドイツ人は約145000人で、1950年以来の最高水準に達した。483600人の外国人もドイツを去った(前年比12%減)。外国からドイツに来た移住者は707000人だった。

 連邦統計局の専門家は、継続的な移住なのか、職業上の期限付きの移住なのかの区別がつかないこと、移住者がドイツ人なのか、ドイツ国籍を取得した外国人なのかの区別もつかないことを指摘して、この統計結果から原因を帰納的推理することはできないと語った。

 政治家は外国からの移住者のドイツ社会への同化問題を議論しているが、この統計結果は新たな問題を投げかけている。外国へ移住するドイツ人を援助する団体ラファエルス・ベルクのシュナイド氏は、「ドイツでの将来に希望を持てない人が増えている」と語った。ドイツで失業の危機にある人がカナダやオーストラリア、英国で仕事を探すケースが増えているほか、優秀なマネージャーや研究者がより良い労働条件(所得、昇進など)を求めて外国へ移住するケースも多い。国際的に活動するエリートにとって、高齢化するドイツよりもダイナミックに成長するの方が魅力的だという。

 OECDの調査結果によると、ドイツほどに多くの大卒者が他の工業国へ移住する国はない。この頭脳流出は外国からの優秀な移住者でしか補うことができない。ドイツ人が好む移住先は米国のほか、オーストリアやスイス、フランス、英国、ポーランドなどの欧州近隣諸国である。

 専門家は、優秀な外国人もドイツに移住してくる限りは、神経質になる必要はないと見ているが、2005年にドイツに来た外国人数は前年よりも4%ほど減少している。

2006年7月11日)

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