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連邦政府、連邦奨学金を据え置く

 連邦政府は今年も連邦奨学金を引き上げない。シャヴァン連邦教育・研究相が提出した連邦奨学資金報告書によると、連邦政府は「生活費の上昇を考慮すれば奨学金引き上げの必要性は正当化される」と認識しているが、現在の厳しい財政状況では財政再建が優先され、連邦奨学金を引き上げることはできないという見解である。

 また、連邦政府は連邦奨学金を社会給付とする現行制度の維持を強調している。シャヴァン連邦教育・研究相は、援助を必要としている学生は復興金融公庫グループの新しい学生ローンも利用できることを指摘した。

 現在、連邦奨学金は平均で月額375ユーロ、最高額は月額585ユーロである(支給額は親の所得に基づいて算出される)。しかし、2003年の調査では大学生が必要とする額は767ユーロと算定されている。最高額を受給している学生の割合は38%で、その親の平均所得は年間2万ユーロである。他の学生では4万ユーロ。

 2005年は345000人の大学生が連邦奨学金を受給した。奨学金を受給する大学生の割合は全体の25,1%である。1990年代末以来、10万人以上増えている。州別に見ると、ザールランド州とバーデン・ヴュルテンベルク州が19%であるのに対して、メクレンブルク・フォアポメルン州は40%と、州間格差が大きい。また、連邦奨学金を受給する生徒数は199000人で、2003年よりも11%増加した。

 連邦奨学金は、半分が補助金、半分が貸付である。シャヴァン教育・研究相は、昔のように奨学金を全額貸付に切り替えて、より多くの学生に奨学金を支給することを提案していたが、社会民主党が反対しているために、大連立政権は従来通りの連邦奨学金制度を維持する。2005年の連邦奨学金予算は22億ユーロで、連邦がその内の65%を、州が35%を負担している。貸付返済と金利からの収入を差し引くと、177000万ユーロの負担となる。

 学生相互扶助会は、連邦政府が2003年と2005年の報告書の中で奨学金引き上げの必要性を認識しているにもかかわらず、未だに改善ていないことを厳しく批判した。このままでは、低所得者層のより多くの若者に勉学のチャンスを与えるという本来の目的を達成することはできないという。

2007年1月29日)

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