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大学中途退学による国の負担は22億ユーロ

    ドイツ学術財団連盟の調査結果によると、大学中途退学は国に年間約22億ユーロの負担をもたらす。このコストは、学生の在籍の平均コスト、中途退学者の在学年数、ドイツの大学(総合大学及び専門単科大学)における中途退学率から算定した。

 国の直接負担22億ユーロに、さらに年間約76億ユーロの間接的国民経済コストが加わる。これは中途退学者の個人的投資と得られなかった稼得所得から算定される。但し、中途退学者の教育投資すべてを国民経済上の損失とみなすことはできないとしている。

 OECDによると、ドイツの大学生の27%が大学卒業資格なしに中途退学している。ドイツ学術財団連盟は「この高い中途退学率はスキャンダルだ」と批判している。特に、在学年数 5年以上の学生における中途退学率が35%で、国際比較で最も高い。それに対して、在学年数 3年~5年では 8%と、平均以下であった。

 学部別に見ると、2002年は言語学/精神(文化)科学における中途退学率45%で、最も多かった。次が社会系諸科学で36%。自然科学系では、情報科学における2004年の中途退学率39%、物理が36%で最も高く、化学が24%で最も低かった。工学部は平均で28%、法学部は11%、医学部は16%だった。全体的に、専門単科大学よりも総合大学の方が中途退学者が多かった。

 ドイツ学術財団連盟は、学士・修士制度への切り替えだけでは問題の解決にはならないとして、大学入学者の適性検査制度の導入を求めている。しかし、教育・学術労働組合(GEW)は、大学入学を制限するとして、適性テストの導入に反対している。元々少ない学生数をさらに低下させる措置は合目的ではないという。

 同連盟は、大学教育の質の向上と学生支援の改善への投資は中途退学率の低下に寄与するので、最終的には投資の採算が合うと見ている。また、州政府は学生数ではなく、卒業者数で大学への補助金を算定すべきだと提案している。

2007年10月12日)

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