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児童における社会的格差が広がる

 

 国際児童援助事業団体「ワールド・ヴィジョン」の委託で青少年研究者が 8歳~11歳の児童1592人を対象に「日常生活における満足度と将来の希望」を調査した結果が1024日(金)に発表された。調査結果は広がる社会的格差を示している。

 社会的に弱下層階級の子供は小さい頃から将来のチャンスがないこと不利に扱われることを感じている。また、下流階級の子供は中流/上流階級の同年齢の子供よりも自分の能力を悲観的に評価しており、自分の能力に関係なく、最初から低い学校卒業資格を目指している。上流階級の子供の80%以上が高等学校(ギムナジウム)卒業を目指しているのに対して、下流階級では21%、低い中流階級では32%に過ぎない。

 一方、今日の子供たちはそれ以前の世代よりも親との関係が親密である。子供たちは家族を愛しており、家では安心感を抱いている。親から暴力を受ける子供は14%と、顕著に減少している。しかし、研究者によると、この家庭中心型が「命取り」となる場合もあるという。社会的出身が子供の将来を決定する重大な要素になっている。

 これは余暇の過ごし方に顕著に表れている。中流/上流階級では多くの子供が読書、スポーツ、音楽、芸術で余暇を過ごしているのに対して、下流階級の子供はテレビやテレビゲームで過ごす時間が圧倒的に多い。ここに社会的階級の「大きな溝」があると研究者は指摘している。青少年の人格形成においては「多面性」が重要であるが、それが下層の子供には欠けているという。そこで、研究者は、政治と社会が従来以上に親を援助しなければならないと訴えている。

 今回の調査ではもう一つの興味深い結果が明らかになった。親が失業中の家庭の子供の28%、仕事をしているひとり親世帯の子供の35%は、親の温かい愛情のこもった配慮が欠けていると訴えている。それに対して、両親がフルタイムで仕事をしている家庭の子供では17%、両親の一方がフルタイム、もう一方がパートタイムで仕事をしている家庭の子供では 8%だけだった。

 この結果は、仕事をしている親は子供と接する時間が少なく、子供の面倒を十分にみていないという考え方が偏見であることを示している。むしろ、親が仕事をしている家庭の子供の大半は親の愛情のこもった配慮に満足している。

2007年10月29日)

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