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連邦議会、扶養法改正案を可決

 連邦議会は119日(金)、扶養法改正案を可決した。この扶養法改革は、20075月23日の連邦憲法裁判所の判決に基づいて、子供の幸せを最優先することを目的としている。扶養法改正は20081月1日に発効する。(20073月26及び5月30日のニュースを参照)

 扶養法改正によると、扶養義務者の所得がすべての扶養権利者を扶養するに十分でない場合は、扶養請求権順位は1番目が親の戸籍上の身分(既婚か未婚か)に関係なく子供(嫡出子・非嫡出子に依存しない)、2番目が子供を世話する親(既婚・未婚に依存しない)と婚姻期間の長かった前配偶者、3番目が婚姻期間が比較的短く、世話する子供のいない前配偶者である。

 現行の法律では、1番目が子供と前配偶者、2番目が新しい配偶者で、非嫡出子の母親は後順位の扶養請求権しかなく、扶養を受けられないケースが多い。

子供最優先の原則から、婚姻よりも家族が優先される。家族とは子供を養育する場である。従って、子供のいない前配偶者よりも子供のいる未婚の新配偶者の方が優先される。この改革により、婚姻と非婚姻の差が縮まった。

 また、新規定では、子供を養育する者の扶養請求期間を既婚/未婚の如何に問わず、3年間とする(子供が生まれてから 3年間)。但し、例外ケースでは延長が可能である。現行の法律では、既婚者が8年間、未婚者が3年間。

 扶養法改革では自己責任が求められている。離婚後はそれまでの生活水準が保証されない。長年、主婦/主夫だった人の離婚後の扶養請求権で扶養費の支払期間及び金額を制限することができる。婚姻期間中の生活水準は支払額の唯一の基準とはならない。育児のために仕事を断念する人は、離婚の際に従来よりも大きなリスクを負うことになる。

 ツィプリース連邦法務相は、離婚率の上昇、婚姻における役割分担の変化、男女同権、嫡出子/非嫡出子の同等の立場などの社会的変遷を法律改正の理由として挙げ、「新しい家族政策への重要な一歩」と評価している。扶養法改正は原則的に、発効前の事例にも遡って適用される。

2007年11月16日)

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