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2006PISA調査結果: 科学的応用力が大きく改善

 

 経済協力開発機構(OECD)は世界57カ国の15歳の生徒を対象に実施した2006年国際学習到達度調査(PISA)の結果を発表した。今回の調査の重点は科学的応用力に置かれた(2000年の重点は読解力、2003年は数学的応用力)。

 ドイツは「科学的応用力」が前回(2003年)の18位から13位(516点)へ順位を上げ、OECD平均(500点)を上回った。顕著な改善が見られる。それに対して、「数学的応用力」は20位、「読解力」は18位と、僅かに改善したものの、OECD平均に留まっている。

 OECDの専門家は、ドイツのPISA結果を「不満足」と評価した。依然として、生徒間の格差が極めて大きい。子供の学力が親の経済的・社会的ステータスに大きく依存しているという。

 OECDによると、ポーランドでは「読解力」が大きく改善したが、それは進学コースが分かれる学年を1年引き上げ、生徒全員が一緒に学ぶ期間を長くしたことに起因している。成績の悪い生徒だけでなく、成績の良い生徒の学力も改善した。

 OECDはポーランドの例を挙げて、早い時期に子供の進学路を分ける学校制度では、親の経済的・社会的ステータスが子供の学力に強く影響することを指摘した。ドイツの教育制度の最も大きな課題は機会均等であるとしている。

 ドイツでは、特に移民の子供に問題が見られる。親が外国からの移民で、ドイツで生まれた二世代目の子供の学力は同年齢のドイツ人の子供より 2,5年遅れているという。

 ドイツのPISAチームの主任であるプレンツェル氏は、2000年の第一回PISA調査以後、ドイツは大きく改善していると語った。依然として、子供の社会的出身とその学力の関連性が強いが、改善は見られるという。

 教育・学術労働組合は、学校の全日制化の促進、教員の継続教育、ドイツ語習得支援などがスムーズに進展していない現状を指摘して、機会平等の改善を求めている。

2007年12月10日)

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