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OECD、ドイツの家族政策を批判

  経済協力開発機構(OECD)の調査結果によると、ドイツにおける男女の賃金格差は約25%と、極めて大きいことが明らかになった。工業国17カ国の内、ドイツよりも格差が大きかったのは日本と韓国だけであるEUの平均は15%で、最も少ないのはマルタの4%。

 OECDは、ドイツにおける男女の賃金格差の要因の一つとして、3年間の育児期間を認める家族政策を挙げた。長い育児休業は女性の昇進の障害となり、育児休業期間が長ければ長いほど、賃金も少ないという。ドイツでは、保育施設に預けられる 3歳未満の子供は 9%(2004年)に過ぎない。OECD平均は23%弱。しかも、3歳~5歳の子供の大半は半日だけ幼稚園に通っている。ドイツ政府は共働きを可能にする保育施設の拡充に資金を投入すべきだと OECDは提言している。

 また、ドイツは家族政策に多くの資金を投入しているが(国内総生産の約3%。OECD平均は2,4%)、適切な措置に効率的に投入していないので、効果がないと批判した。スカンジナビア諸国やフランス、オランダは家族政策の支出の4060%を保育施設拡充に投資しているという。

 ドイツにおける子供の貧困はスカンジナビア諸国やフランスよりもはるかに多い。その主因も家族政策にあると指摘している。保育施設が少なく、育児休業への経済的援助が大きいために女性が就業せず、貧困リスクが高まる。片親だけが就業している家庭の子供の貧困リスクは共働きの家庭の子供の3倍である。特に、保育施設が整備されていないために就業するチャンスの少ない母子家庭の貧困リスクが高い。

 一方、OECDは、ドイツ政府が今年導入した父母手当(生後1年間だけ支給、早い職場復帰)と保育施設の拡充をポジティブに評価した。それに対して、キリスト教社会同盟(CSU)が要求している保育手当(子供を保育施設に預けないで、母親が自宅で保育する場合に支給)は育児休業を長くする非効率的な政策として批判した。

 OECDによると、仕事と家庭の両立は出生率にも有効に作用する。女性の就業率の高い国では、出生率も高い。政治家は出生率について議論するのではなく、仕事と家庭の両立を可能にする環境を整備しなければならないとしている。

2007年12月30日)

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