ドイツのニュース

連邦憲法裁判所、現行の相続税と贈与税は違憲

 連邦憲法裁判所は1月31日(水)、現行の相続税と贈与税は基本法に違反するとする決定をインターネット上で公表した。現行の法律では、現金や有価証券の財産は100%課税されるのに対して、不動産や事業所、農林業のような財産には実際の市場価値を大幅に下回る査定をしている。例えば、家屋の場合、平均で市場価値の50%、農林業の財産では10%しか課税されない。これは平等の原則に反するという。

 連邦憲法裁判所は立法者に対して、遅くとも2008年末までに、不動産から事業所、農林業に至るすべての種類の財産を実際の市場価値に基づいて評価する新しい法律を制定するよう求めている。立法者は20091月1日に新しい法律が発効するまで猶予期間を与えられた。

 また、立法者は、「十分な公益の理由」がある場合には、従来通り、様々な種類の財産の相続及び贈与に対する税制上の優遇措置(控除、自宅と事業所に対する低い税率など)に関する特別規定の制定が認められる。現行の規定を引き続き適用することができる。

 今回の連邦憲法裁判所の決定は連邦財政裁判所の提起に起因している。連邦財政裁判所は200112月に、相続及び贈与の際に現金及び株式と不動産、事業所財産、農林業財産を異なって査定することを批判していた。

 評価基準における差別化は認められないが、将来も控除や税率などで差別化することが可能であることから、連邦財務省は連邦憲法裁判所の決定を歓迎している。社会民主党(SPD)のベック党首は、新規定では大きな不動産には「適切な相続税ないし贈与税」を課すが、普通のサラリーマンの住宅には影響がないと語った。 

 立法者はすべての種類の財産に対する統一した評価基準を設定した後に、差別化を規定することができる。将来も小規模及び中規模の相続には適切な保護が可能である。党の代表者は、親族者には引き続き高い控除額を認めるべきだとする見解を強調した。例えば、普通の一軒家には法律改正の影響がないが、いくつかの家屋を相続した場合には、相続税が従来よりも高くなる見通しである。

2007年2月14日)

戻る