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ハウプトシューレ卒業生の就職のチャンスは少ない

 ハウプトシューレ(基幹学校)の生徒が職業訓練の職場を見つけることがますます難しくなっている。フリードリヒ・エベルト財団の「変革する職業教育」調査結果によると、ハウプトシューレ卒業後すぐに職業訓練の職場を見つけた人は約40%に過ぎなかった。卒業資格のない若者では、退学後すぐに職場を見つけた人は15%だった。

 ドイツ職業教育制度であるデュアルシステム(事業所で実地、職業学校で理論を学ぶ)の重要性が失われつつある。この広範な職業教育を受けられる若者は43%に過ぎない。特に、卒業資格のない若者とハウプトシューレ卒業生がデュアルシステムの恩恵を受けられない。卒業資格のない若者の84%、ハウプトシューレ卒業生の52%はデュアルシステムから落ちこぼれている。

 職業訓練を始めたい若者の40%は職場を見つけられないために、国が助成する特別支援プログラムに参加しており、これが落ちこぼれた若者の受け皿になっている。現在 50万人の若者が参加している。しかし、職業上の展望は暗く、雇用市場の大きな不安要因である。特別支援プログラムの参加者に占める男性の割合は58%で、職業教育と就職における状況は女性よりも男性の方が悪い。

 この調査では、もはやデュアルシステムの職業教育制度が学生生活から職業人としての生活への移行過程ではなくなっていることが明らかになった。専門職の需要が増えているにもかかわらず、若者の失業率は上昇している。金属産業や電子産業のように専門職の需要が高い業界でも1980年代中頃から職業訓練の職場が減少している。専門職労働力の不足は企業の「自家製」の問題であり、少子化でさらに状況が厳しくなっている。

 社会民主党のカテンハウゼン氏はこの調査結果をドイツ職業教育制度の将来に対する警告と評価した。レアールシューレ(実科学校)とハウプトシューレを分けずに、10年生の後で普通学校卒業資格を取得することを提案している。また、落ちこぼれた若者の受け皿になっている特別支援プログラムの経費(年間約80億ユーロ)の一部を学校教育に投資し、若者が職業訓練を受けるに足る学力を取得して卒業できるようにすべきだとしている。

2007年2月14日)

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