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連邦憲法裁判所、婚姻を擁護

   連邦憲法裁判所は2月28日(水)、法定疾病保険金庫による人工授精費用負担は結婚している夫婦だけを対象とする現行の法規定は合憲であるとする決定を下した。現行の法規定は平等の原則にも婚姻と家族の憲法上の保護保障にも違反していないという。結婚していないカップルは将来も人工授精費用を自己負担しなければならない。

 連邦憲法裁判所によると、疾病保険給付上の異なる扱いは婚姻の特別な地位ゆえに、また、立法者が人工授精を病気の治療とみなしていないために正当化され、結婚していないカップルの基本権を侵害しない。立法者は、婚姻が子供の幸福のためのより適切な生活基盤であるという前提に立っている。但し、立法者は、人工授精費用負担において、結婚している夫婦と結婚していないカップルを同等に扱うことも可能であるとしている。

 民法典に基づいて、配偶者はお互いに責任を負う、生涯の共同体のパートナーとみなすことができるが、婚姻によらない生活共同体ではこの責任が任意にしか行使されない。しかも、婚姻によらない生活共同体はいつでも終了することができ、継続的な義務がない。婚姻は、相互連帯が事実上行われるだけでなく、法的にもそれを要求され得る、法的に規定された男女の関係である。従って、立法者は、婚姻によらない生活共同体よりも婚姻の方が子供の幸福をより考慮する生活基盤とみなすことができる。婚姻は原則的に子供に法的な保障を与える。結婚している夫婦は法律により、家族の扶養を義務付けられている。

 10年以上同棲しているカップルが人工授精費用(約1380ユーロ)の支払いを法定疾病保険金庫に請求したが、拒否されたために、ライプチッヒ社会裁判所に告訴した。現行の社会法典Vによると、法定疾病保険金庫は、結婚している夫婦が自らの卵細胞と精子を使って人工授精する場合にのみ、最高3回の人工授精の費用の半分を負担する。しかも、妻が40歳以下、夫が50歳以下でなければならない。

 ライプチッヒ社会裁判所は、「基本法は婚姻だけでなく、家族も保護しており、国は家族を援助しなければならない」として、生命の誕生を親の婚姻に依存させる現行規定を違憲と判断し、連邦憲法裁判所に見解を求めていた。

 法定疾病保険金庫による人工授精費用負担に関する規定は人口受精件数に大きな影響を及ぼしている。2004年から法定疾病保険金庫による費用負担額が半分に削減されたことから、人工授精件数が急減した。2003年は105000件だったが、2005年は5万6000件に減少している。人工授精で生まれた子供の数は2003年が1万6000人、2004年が1万人だった。人工授精の成功率は平均で18%である。

2007年3月12日)

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