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与党、扶養法改正案で合意

 キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は3月22日(木)、扶養請求権における子供の最優先を目的とする扶養法改正案の修正で合意した。(20064月10日のニュース参照)

 合意した扶養法改正案によると、扶養義務者の所得がすべての扶養権利者を扶養するに十分でない場合は、扶養請求権順位は1番目が親の戸籍上の身分(既婚か未婚か)に関係なく子供(嫡出子・非嫡出子に依存しない)、2番目が子供を世話する新配偶者と前配偶者、3番目が婚姻していない母親ないし父親となる。

 再び自活する義務は既婚・未婚に関係なく同等に適用される。再び働いて自活しなければならない時期については法的な身分に関係なく規定される。

 ツィプリース連邦法務相(SPD)の扶養法改正案では、扶養権利者順位は1番目が未成年の子供、2番目が子供を世話する親(既婚・未婚に依存しない)、3位が前配偶者だった。現行の法律では、1番目が子供と前配偶者、2番目が新しい配偶者で、非嫡出子の母親は後順位の扶養請求権しかなく、多くの場合に扶養を受けられないのが現状である。

 ツィプリース法務相の法案はCDU/CSUの閣僚の同意を得て閣議決定されていたが、連邦議会での採決直前になって保守的なCDU/CSU議員が修正を要求した。無差別的取扱いは基本法で保護されている伝統的な婚姻の「空洞化」だとして、扶養権利者順位において既婚の配偶者を未婚のパートナーよりも優遇することを主張していた。

 最終的には、妥協か改革挫折の選択を迫られた法務相が妥協の道を選んだ。既婚・未婚に関係なく、すべての母親の無差別的取扱いを目指していたが、すべての婚姻している母親(前配偶者と新配偶者)を同等に扱うことで譲歩した。新配偶者よりも前配偶者を優遇することを主張していたCDU/CSUは、婚姻の保護が保障される妥協案で合意した。

 与党が同法案で合意したことから、今年7月1日の発効は確実となった。これは1977年以来最大の家族法改革である。

2007年3月28日)

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