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妊娠中絶が減少傾向

  連邦統計局の発表によると、2006年の妊娠中絶件数は前年比3,5%減の119710件だった。中絶件数は2001年から連続して減少している。最も減少幅が大きいのは若い年齢層で、8%減だった。

 バイエルン州産婦人科医連盟によると、効果的な避妊方法に関する知識が特に若者に浸透してきたことが中絶減少の要因として挙げられる。同連盟は、全般的に医師/教会/保健局における妊娠相談の効果が実証されたと評価している。市民の間で価値観意識が強まっており、倫理上の理由から中絶を拒否するケースが増えているという。

また、この統計結果からは、医学上安全な妊娠中絶が容易になったことが必ずしも中絶件数を増やすことにはならないことが明らかになったと分析している。

 中絶した女性の4分の3は18歳~34歳の年齢層であった。この年齢層の女性の多くは特定のパートナーとの固定した関係にないため、子供の父親と家庭を築くかどうかを迷う状況にあるからだという。また、若い母親と父親には国からの支援金に関する知識があるために、経済的理由は二次的になっている。医学上の理由による、あるいは強姦後の妊娠中絶は全体の3%に過ぎない。

 中絶全体の41%は中絶した女性にとって最初の妊娠だった。ミュンヘン工科大学病院のフィッシャー産婦人科医によると、この統計は社会的傾向を反映しているという。過去10年間、意識して子供を作らないカップルが増加している。ドイツ人の35%は子供を作らない。

 望まなかった妊娠の場合には、中絶の可能性が高くなる。「ドイツでは妊娠が減少しており、その帰結として中絶も減少している」と、フィッシャー産婦人科医は指摘している。このままでは将来も減少傾向が続くという。

 世界保健機構(WHO)によると、EUにおける妊娠中絶件数は過去4年間、連続して減少している。特に新規加盟国における減少が顕著である。特に減少しているのはルーマニア、ブルガリア、エストニア、ハンガリー。

2007年3月28日)

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