オバサンの独り言

 

 新緑の美しい季節になった。ビアガーデンはもとより、オープンカフェ、公園、川や湖、プールは初夏のような晴天を満喫する人々で賑わっている。ドイツ人は日光浴が大好きな国民である。

 しかし、例年よりも暑い春の訪れに地球温暖化の影響も憂慮される。4月は雨がほとんど降らなかったため、農作物に被害が出始めている。山火事警報も出された。

 また、今年は暖冬の影響でバイエルン州のダニ(Zecken)危険地域が拡大しており、ダニがミュンヘン近郊にまで迫ってきた。医者は予防接種を受けるよう呼びかけている。

 ビアガーデンで焼きソーセージを食べ、生ビールを飲みながら地球温暖化の不安を吹き飛ばしていると、今度はドイツがEU肥満ランキングで不名誉な1位になったというニュースが飛び込んできた。脂肪と糖分の摂りすぎ、運動不足、ビールが原因だという。周りを見渡して、うーん、・・・納得。

 ドイツ人はよく米国人の肥満を揶揄してきたが、世界肥満ランキングでドイツが米国に並んだというのだから、これは深刻である。早速、ゼーホーファー連邦消費者保護大臣は、国民の健康意識を強化するために、健康な食生活と適度な運動を促進する基本方針を5月に提示すると発表した。学校での啓蒙活動も計画しているという。

 若者の間では拒食症も大きな問題になっている。最近では拒食症が若い女性だけでなく、男性にも見られるようになった。健全な食生活は喫煙やアルコールの問題と共に、学校で啓蒙すべきテーマだと思う。

 最近、16歳の若者がお酒飲み放題のバーで飲みすぎて意識不明になり、死亡した事件があった。飲み放題のバーや居酒屋が若者に人気がある。ウオッカやテキーラのようなアルコール度の高いお酒を競ってがぶ飲みするのだから堪ったものではない。

 2006年度犯罪統計では、犯罪件数は減少しているが、残忍な暴力犯罪は増えていることが明らかになった。若者の間では暴力が「シック」になっているという。暴力のための暴力を楽しむという「新しい若者文化」では、残忍性がエスカレートしていく。

 これらのニュースを聞くたびに、節度のない社会になったとつくづく思う。「これ以上飲んだら、これ以上殴ったら、これ以上・・・したら危険だ」という、超えてはならない限度を見極める常識的感覚に欠けているのではないか。

 結局のところ、地球温暖化も節度のない人間が世界規模で引き起こしている問題ではないだろうか。限度を見極めて自制する節度が欠如しているのである。物質的に豊かな生活に慣れてしまった現代人が「古臭い」と冷笑してきた節度を取り戻さない限り、社会と自然の秩序は乱れるばかりである。

2007年4月30日)

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