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連邦政府、国民フィットネスプログラムを計画

  連邦政府は肥満対策として、特に子供に健康な食生活と運動を促す国民フィットネスプログラムを計画している。シュミット連邦保健相とゼーホーファー連邦消費者保護相は 5月9日(水)、「生活の質を高めるためのキーポイント: 健康な食生活と運動」という行動プランの基本方針を発表した。連邦内閣はすでにこの行動プラン基本方針を閣議決定している。

 連邦政府は子供の肥満を防止し、成人の肥満を減らすために、2020年までに肥満者数の20%減少を目指す。そのために、保育所、幼稚園、学校、大学、企業における健康な食生活の啓蒙運動の促進を図るほか、公園や遊び場、自転車道を整備する。レストランや電車、飛行機のメニューに「健康な料理」も加える。また、糖尿病や腰痛などの国民病の研究を助成する。

 シュミット連邦保健相は国民フィットネスプログラムのために1500万ユーロの追加補助金を予算に繰り込むと語った。また、連邦政府は食品表示で製品情報を明確かつ分かり易く記載するように欧州連合に働きかけるという。現在、欧州連合では、栄養価、脂肪含有量、たんぱく質、炭水化物の表示義務がないが、欧州委員会は今年の白書で情報義務と表示の拡大を提案する見通しである。

 連邦政府によると、ドイツでは幼児童及び青少年の15%が太りすぎ(Übergewicht)6%が肥満症(krankhafte Fettleibigkeit)で、成人では女性の53%、男性の67%が太りすぎである。EU比較では、男性の75%、女性の59%が「太りすぎ」ないし「肥満症」である。(20074月30日のニュースを参照)

 また、成人の4分の1は心臓循環障害を病んでおり、400万人は糖尿病である。食生活に起因する病気のコストは700億ユーロを超えると推定されている。

 緑の党は、子供向け宣伝の規制、食品の表示義務を法律で規定すること、学校の食堂やカフェから肥満にする食品を排除することを連邦政府に求めている。

 それに対して、食品工業は宣伝禁止や警告表示に反対している。子供における肥満は教育の問題であり、成人における肥満は間違った生活習慣の結果である。健康に有害な食品があるのではなく、健康な食生活と不健康な食生活があるのだという見解である。

2007年5月15日)

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