ドイツのニュース

日常のドラッグが瑣末視されている

   連邦政府のベツィング麻薬専門委員は 5月3日(木)、連邦政府の中毒・麻薬報告書を発表した。不法麻薬対策の成果が見られる一方で、アルコール、ニコチン、乱用される薬物などの日常のドラッグが社会的に瑣末視されている。今後は合法なアルコール、ニコチン、薬物の依存を防止する対策を強化する方針である。

 ドイツでは、成人の3分の1、青少年の5分の1が喫煙者である。初めてタバコを吸う年齢は平均で13歳。2006年に喫煙が原因で死亡した人は14万人、受動喫煙による死亡者は3300人だった。喫煙者が減少する傾向にあるが、欧州比較では依然として喫煙率が高い。12歳~17歳の青少年における喫煙率は2000年の28%から2005年は20%に低下した。

 ドイツ人は年間一人当たり10リットルのアルコールを消費している。約160万人がアルコール依存症で、1000万人以上のアルコール消費は健康にリスクがある。男性では毎日ビールをグラスで2杯以上飲む人、女性では1杯以上飲む人は健康にリスクがあるとみなされる。

 人口10万人当たりのアルコールによる死亡者数(2005年)を州別で見ると、北と南の格差が顕著である。メクレンブルク・フォアポメルン州(38,3人)、ザクセン・アンハルト州(31,8人)、ブレーメン都市州(31,7人)、ブランデンブルク州((30,0人)が多く、バーデン・ヴュルテンベルク州(13,1人)、バイエルン州(13,4人)、ヘッセン州(14,2人)が少ない。

 青少年のアルコール消費では、12歳~17歳の年齢層で定期的にアルコールを飲む若者の割合が減少しており、現在は18%である。しかし、アルコールを飲む若者のアルコール量が増えており、危険な飲酒(昏睡状態に陥るまで飲む)が増加している。2006年にアルコール中毒で病院に運ばれた若者は2001年より40%も多かった。

 2006年に不法麻薬で死亡した人は前年比 2%減の1296人だった。これはドイツ統一以来の最低水準である。不法麻薬による死亡者の減少は相談サービスと代替麻薬による補充療法に起因している。

 ドイツでは、140万人が薬物に依存しており、その3分の2は女性である。連邦政府は医者、薬剤師、介護士、社会福祉職員にこの「密かな中毒」への注意を喚起していくという。

2007年5月15日)

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