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すべての子供が同等の被扶養権利を有する

   連邦憲法裁判所は5月23日(水)、「子供の養育を目的とする扶養料支払いにおける未婚の親の不利益は違憲である」とする判決を下した。子供の養育のための扶養料支払いでは離婚した母親(ないし父親)と未婚の母親(ないし父親)を同等に扱うよう立法者に求め、2008年末までに新しい法律を制定するよう命じた。

 現行法では、離婚した母親は子供を養育するために、少なくとも子供が8歳になるまでは扶養請求権があり、自ら働く必要がない。それに対して、未婚の母親の場合は、父親の扶養義務は3年後に終わる。裁判官は、この扶養料支払い期間の差別は基本法に違反すると判断した。子供が親からどれだけの扶養を必要としているかは、嫡出/非嫡出に依存しないとしている。

 離婚した配偶者を扶養法上優先することは有り得るが、子供を個人的に養育するための扶養請求権では差別は禁止されるという。扶養義務者はもう一方の親のためではなく、その親が子供を個人的に養育できるようにするために、扶養料を払わなければならない。その際に、離婚した配偶者か未婚者かは問題にならない。

 ツィプリース連邦法務相は、子供の扶養は嫡出/非嫡出に依存しないとする社会民主党(SPD)の立場が確認されたとして、連邦憲法裁判所の判決を歓迎した。

 この判決を受けて、連邦政府は5月24日(木)、扶養法改革法案について、5月25日(金)の連邦議会での採決を見送った。その結果、今年7月1日の発効は難しくなった。扶養法改革法案では、扶養権利者順位は、嫡出子/非嫡出子の如何を問わず、子供が1番目で、その扶養料支払い期間は同じになるが、次の扶養権利者順位では離婚した配偶者が未婚者よりも優先される。(20073月26日のニュースを参照)

 ツィプリース連邦法務相は、婚姻の如何にかかわらず、子供を世話する親を皆平等に扱うべきだという見解を固持している。それに対して、キリスト教民主同盟(CDU)のカウダー議員団長は、「子供の幸せと婚姻の優先を正当に評価する」法案でなければ同意しないと語った。

2007年5月30日)

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