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連邦議会、移民法改正案を可決

  連邦議会は6月14日(木)、移民法改正案を可決した。同法改正に伴い、外国人の滞在権取得条件を緩和する庇護権及び滞在権に関する法律も改正される。移民法改正案の要旨は次の通りである。(20074月11日のニュースを参照)

     強制婚姻の阻止を目的として、ドイツに呼び寄せられる外国人配偶者の最低年齢を18歳に引き上げる。また、呼び寄せられる配偶者の扶養も義務付けられる。

     外国人の配偶者はドイツに移住する前に多少のドイツ語を話せなければならない。但し、ドイツで同化問題のない国(例えば米国、オーストラリア)の市民は例外とする。

     偽装結婚の疑いがある場合は、入国を拒否できる。

     特定の違反行為をした者(犯罪をくり返す青少年、強制結婚を強要する父親など)を国外追放することが容易になる。

     移民の同化コース(ドイツ語習得)を拡充し、その質を改善する。630時間の授業参加後の修了試験に合格することが義務付けられる。同化コースへの参加を拒む者は最高1000ユーロの過料を払わなければならない。場合によってはドイツを退去しなければならない。同化コースに参加しない外国人は社会扶助を一部削減される(最高30%)。社会福祉事務所、雇用局、青少年局は同化の欠如に関する情報を他の局(外人局など)に連絡しなければならない。

     入国する外国人の審査における外国人局と治安当局の義務と権限が拡大される。ビザ義務のある国の人をドイツに招待する者、あるいはビザ義務のある国の人の保証人になる者は審査される。また、ビザ付与の際に指紋を採取することも可能になる。

     ドイツの大学に入学したい者がEU以外の国の出身である場合は、その人に関する詳細な情報が収集される。ビザ付与の際に指紋が採取されるほか、過激派との関係が調査される。

 外国人の滞在権取得条件を緩和する庇護権及び滞在権に関する法律改正の要旨は次の通りである。

     人道的理由から一時的に滞在を認容されている外国人は、1) 20077月1日の時点で最低8年(独身者)ないし6年(既婚者)ドイツに滞在していること、2)就職していること、3)同化していること、4)十分にドイツ語を話せること、5)適当な住居に住んでいること、6)犯罪を犯していないこと、などの前提条件を満たせば、継続的滞在許可を取得できる。

     一時的に滞在を認容されている外国人は「試用滞在許可」を取得し、2009年末までに就職先を見つけて、家族を扶養できることを証明すれば、継続的滞在許可を取得できる。

     EU以外の外国人に対する雇用制限は4年後になくなる。

 一方、州首相会議は6月14日(木)、移民の子供の教育を改善するための同化コンセプトを決定した。それによると、社会的に問題のある地区では特に、学校が同化と対話の場とならなければならない。小学校入学前に移民の子供にドイツ語を習得させ、需要に応じて小学校でもドイツ語習得を支援する。職業訓練、就職における移民の子供の支援を改善する。移民の起業を支援する。公勤務の応募の際に移民の採用を促す。

 メルケル連邦首相は州の同化コンセプトを「重要な第一歩」として歓迎した。「ドイツの繁栄は、移民がドイツでチャンスがあるか否かにかかっている」という。

2007年6月18日)

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