オバサンの独り言

 

 旧東独から旧西独に移住する若い女性が増えているという。優秀な成績で高校を卒業した、前途有望な彼女たちは幸せを求めて、旧西独の大学で、職場で奮闘している。ミュンヘンの大学でも旧東独出身の女子大生が多くなったと聞く。

 彼女たちが立ち去った後に残されるのは、学校から落ちこぼれ、就職もできず、将来の見通しもない若い男たちである。彼らは旧西独や外国に移住して職場を見つける勇気もない。だから、ネオナチグループに入り、酒を飲み、暴力を振るって、憂さ晴らしをする。そんな若者の溜まり場になった村や町を去って行く若い女性が後を絶たない。この悪循環の中で、「男性過剰の新しい下層階級」が形成されるのだという。

 女性は順応性があるとよくいわれる。確かに、国際結婚して外国で生活しているのは圧倒的に女性が多いと思う。女性の方が未知の世界に飛び込む勇気があるのかもしれない。元々、社会で不利な立場に置かれている女性の方が躊躇することなく、より良い世界を求めて飛び出していけるという事情もあるだろう。

 社会における男女差別は依然として存在している。Corporate Women Directors International(CWDI)の調査結果によると、世界の大企業200社における女性取締役は308人に過ぎないという。しかも、女性取締役のいる取締役会の約半分では、「女性割り当て枠」 の女性取締役が1人いるだけだというから、現実は厳しい。

 但し、最低1人の女性取締役のいる企業の割合は2004年よりも 4ポイント上昇して77,5%になったという。取締役会に占める女性の割合が最も高いのは米国で、欧州では英国とオランダが先行している。「女性にやさしい」コンツェルン上位10社の中にはドイツ企業 3社、ドイツポスト(女性取締役の割合 30%)、ドイツ銀行(25%)、アリアンツ保険会社(25%) が入っている。

 様々な調査結果からも明らかなように、昇進と賃金における男女格差 は相変わらず大きい。同じ資格、同じ仕事であっても女性の賃金の方が少ないし、昇進も遅い。 学校や大学では男女平等に評価されてきた若い女性たちは、社会人になると、男女格差の現実に遭遇する。

 今後、少子化を背景に女性の労働力が見直され、仕事と育児の両立を支援する家族政策が推進され、勇気と野心のある優秀な女性が増えれば、男女格差は自ずと縮小していくだろうと思われる。

 男たちが「ウーマン・リブ」ならぬ「マン・リブ」を 叫んでデモする日が来るかもしれない。若い女性たちの活躍を期待したい。

2007年6月18日)

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