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連立与党、最低賃金と介護保険で合意

   連立与党は6月19日(火)、激しい論争の的になっていた最低賃金導入の妥協案で合意した。社会民主党(SPD)は全産業に適用される統一した法定最低賃金の導入を主張していたが、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)は法定最低賃金の導入に反対していた。

 長い議論の末、CDU/CSUとSPDの首脳部は、全産業に適用される法定最低賃金は導入しないが、賃金ダンピングを防止するために、被雇用者派遣法が適用される業界を増やし、政令によりその業界に最低賃金を義務付けるほか、1952年の最低労働条件法を改正するという妥協案で合意した。

 また、連立与党は介護保険改革でも合意した。認知症患者に対する新しい給付サービスを増やし、在宅介護給付を改善する一方で、20087月1日から介護保険料率を0,25ポイント引き上げて1,95%にする。但し、賃金付随コストの上昇を防ぐために、失業保険料率を20081月1日に0,3ポイント引き下げる。

 連立与党が介護保険準備金の拡充で合意できなかったことから、さらなる改革なしには、遅くとも2014年後には次の保険料引き上げを余儀なくされる可能性が高い。連邦保健省の算定によると、介護保険料率は2030年までに2,3%に上昇する見通しである。

 CDU/CSUはSPDとの論争の的になっていた2つの政策で合意できたことに満足を表明しているが、SPDはCDU/CSUに押し切られた妥協案に大きな不満を示している。ミュンテフェリング連邦労働・社会相(SPD)は、今後も法定最低賃金の導入を目指すことを明らかにした。

2007年7月9日)

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