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ドイツの賃金格差が広がる

 

 経済協力開発機構(OECD)の発表によると、ドイツの所得格差は他の工業先進国よりも顕著に拡大している。1995年~2005年の賃金格差国際比較(20ヶ国)では、この期間の格差増大幅がドイツよりも大きかったのはハンガリー、ポーランド、韓国、ニュージーランドだけだった。

 ドイツのトップマネージャークラスの賃金は低賃金者層の賃金よりも急速に上昇している。被雇用者の内、最高所得者クラス10%の所得は平均で、最低所得者クラス10%の3,13倍である。1995年は2,79倍だった。日本は1995年が3,01倍、2005年が3,12倍、米国は4,59倍/4,86倍、英国は3,48倍/3,51倍。

 また、ドイツの国内総生産に占める賃金の割合は1995年の59,8%から2005年は56,7%に低下した。これはOECD平均を上回る減少である。OECD平均では同期間に61,6%から59,6%に低下している。

OECDは社会保険制度、特に疾病保険と介護保険の財源における税金の割合を高めることを提案している。低賃金者層の社会保険料を引き下げると、雇用にポジティブに作用するとしている。

 一方、キーンバウム・コンサルティング会社の調査結果によると、ドイツの大手企業取締役の所得は1976年以来平均以上に上昇している。大手100社の取締役の所得は平均で1976年の225000ユーロから180万ユーロに増加した。これは年間7,45%増に相当する。

 それに対して、中小企業の取締役の所得はこの期間に132000ユーロから44万ユーロに上昇した。これは年間4,25%増に相当する。企業の取締役の所得は一般の賃金・所得動向と変わらないという。専門家は、大手100社の取締役の所得急増は「国際標準への適応と任務の複雑化」の結果と推測している。

2007年7月9日)

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