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連邦内閣、ドイツ鉄道一部民営化法案を閣議決定

  連邦内閣は7月24日(火)、ドイツ鉄道一部民営化に関する法案を閣議決定した。ティーフェンゼー連邦交通相は、同法案により、鉄道網に対する連邦の影響力が強化され、ドイツ鉄道に企業としての経営の自由が与えられると語った。

 同法案によると、ドイツ鉄道の2025%の株式が2008年末までに個人投資家に売却される。株式上場するかどうかは未定である。約30億ユーロと推定される株売却収入の分配(連邦とドイツ鉄道)についても明らかにされていない。

 連邦がドイツ鉄道の51%の株式を保有する。連邦は34000kmに及ぶ鉄道網の法的所有者である。但し、所有者の権利は15年間、一部民営化されたドイツ鉄道に譲渡される。ドイツ鉄道が鉄道網に対する経済的所有権を有する。ドイツ鉄道はこの期間に鉄道網を運用し、収支決算することができる。連邦議会が15年後にこの規定を継続しないと決定した場合には、鉄道網は再び連邦に帰属する。

 連邦網エージェントは、ドイツ鉄道が鉄道網に対する高権を乱用していないかどうかを監視する。毎年提出される鉄道網現状報告書により、鉄道網の品質が報告される。鉄道網への連邦補助金は年間25億ユーロで、連邦交通相は徐々に削減していく考えである。

 野党、州政府、経済団体は法案を厳しく批判している。特に、鉄道網インフラに対する連邦の影響力の損失を批判する声が大きい。基本法で保証されている連邦のインフラに対する責任とドイツ鉄道の企業経営上の利害の紛争を懸念している。個人投資家が利益率達成のみを目指せば、利益率の低い路線への投資が削減されることが憂慮されるという。

 現在、ドイツ鉄道は全長34000kmの鉄道網の40%だけで売上の70%を上げている。鉄道網の30%は売上の9%しか占めていない。連邦が鉄道網に年間25億ユーロの連邦補助金を支給するのであれば、補助金の投入先も連邦が決定すべきだと、州政府は要求している。

 また、15年後に連邦が鉄道網の返却を要求する場合に、ドイツ鉄道は法律上、連邦から対価を請求できる点も批判している。対価の支払義務や額については明確にされておらず、極めて不透明であるという。

 連邦交通相は、今年11月末ないし12月半ばに連邦議会で、1220日に連邦参議院で法案を可決したい考えであるが、憲法上、欧州法上、会計法上の懸念が指摘されており、計画通りに法案が成立するのは難しいと見られている。

 全国州交通相会議は8月2日(木)、法案に反対することで合意し、近距離鉄道網への投資における州の共同決定権と監督権を法律で保証するよう要求した。連立与党内でも反対の声が大きくなっており、連邦交通相は法案の修正を余儀なくされそうである。

2007年8月6日)

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