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連立与党、遺伝子組み換え生物規制法改正案で合意

 連立与党は、遺伝子組み換え植物の栽培に関する規制を厳しくする遺伝子組み換え生物規制法改正案で合意した。連邦内閣は8月8日に法案と政令案を審議する。改正法案の要旨は次の通りである。

     環境中への拡散防止の理由から、遺伝子組み換え植物(遺伝子組み換えトウモロコシ)栽培地と従来の植物栽培地の間隔は最低150メートル離れていなければならない。エコ栽培地(エコとうもろこし)の場合は最低300メートルとする。農家同士で申し合わせできるが、申告しなければならない。

     遺伝子組み換えしていない食品の表示基準が緩和される。他国に比べて厳しい食品政令をEUエコ規則に合わせる。動物が遺伝子組み換えしていない飼料で飼育されたことの証明も表示前提条件である。

     責任規定は従来と変わらない。遺伝子組み換え植物を栽培する者は、過失に依存することなく、他の畑への拡散の責任(損害賠償)を負わなければならない。

     遺伝子組み換え植物栽培地に関する情報が申告されている立地登録簿は従来通り公表される。

     遺伝子組み換え植物の研究に対する規制が緩和される。

 現在、ドイツでは遺伝子組み換えトウモロコシだけが栽培されているが、この改正案は原則としてすべての植物に適用される。最低間隔の距離については植物ごとに(例えば遺伝子組み換えジャガイモ)新たに規定しなければならない。

 ゼーホーファー連邦農林相は、改正法案が市民の不安を考慮していることを強調した。ドイツでは遺伝子組み換え食品に対する国民のアクセプタンスがほとんどないことを指摘して、次世代の遺伝子組み換え植物が代替エネルギー用に栽培されるようになれば、状況が変わるだろうと述べた。

同農林相は、欧州委員会の認可が予定されている遺伝子組み換えジャガイモAmfloraの栽培についても詳細な規定を定めることを明らかにした。BASFの遺伝子組み換えジャガイモは食品としてではなく、製紙・製糸・接着剤工業などで使用されるという。

 ドイツの研究機関は、政府の改正案は技術革新にも学術研究にも貢献しないとして批判した。遺伝子組み換え研究者が遺伝子組み換え研究を支援する外国へ流れることを懸念している。2006年は世界で1億200万ヘクタールの畑で遺伝子組み換え植物が栽培されたが、ドイツでは主に旧東独で約2700ヘクタールの畑で遺伝子組み換えトウモロコシが栽培された。

2007年8月6日)

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