ドイツのニュース

乳製品が大幅に値上がりする

  国内外の乳製品需要が急増し、世界市場の価格が上昇していることを理由に、小売業は乳製品(牛乳、バター、その他)を最高で50%値上げすると発表した。バターは1kg当たり1,40ユーロ、凝乳は1kg当たり約50セント、チーズは1kg当たり1ユーロ以上、牛乳は1020%値上がりする見通しである。

 アジア、特に中国におけるチーズとその他乳製品の需要が急増する一方で、オーストラリアの干ばつが供給不足をもたらした。欧州連合の農家はEU牛乳生産量割り当て制度(牛乳の過剰生産に対する措置)ゆえに生産を制限されているため、供給不足になっても生産量を増やせない状況にある。割り当て以上に生産すると罰金を科せられる。

 ドイツの牛乳生産量は年間270億リットルで、20年前からほとんど変わっていない。それに対して、成長市場であるアジアや南米などへのEUからの粉乳製品輸出が増えている。ドイツ国内でも原料である牛乳の需要が増加している。

 ドイツはEU最大のチーズ生産国である(年間220万トン)。生産量は年間約4%増えており、3分の1は輸出されている。EUの牛乳生産量割り当て制度が供給不足の原因になっていることから、今秋にEUの農業相が2015年までに同制度を廃止するかどうか審議する予定である。

 また、欧州では、トウモロコシや穀物がバイオガスやバイオ燃料の生産に使用されるようになったため、エネルギー用と食糧の競合が飼料や食品工業における原料不足をもたらしている。この様な現状から、乳製品だけでなく、他の食品も値上がりすることが予想される。

 ドイツでは、他の業界とは対照的に、乳製品の価格水準は過去10年間にむしろ低下してきた。AldiやLidlなどの安売りチェーン店が生産者と農家に強い圧力をかけて価格水準を抑えていたことが要因として挙げられる。また、欧州では1960年代以降、牛乳の過剰生産ゆえに価格水準が抑えられていた。専門家は、ドイツの食品価格がこれまでEUで最も安かったことを指摘している。

 ゼーホーファー連邦農林相は、世界的に乳製品が不足しているのは事実だが、今回の値上げ幅は正当化されないと、過度な値上げを批判している。連邦カルテル庁は食品工業の動きを観察すると警告した。

2007年8月6日)

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