オバサンの独り言

 

 バイエルン州も7月28日から夏休みに入り、空も道路も鉄道も旅行者で賑わっている。ドイツ人にとって夏の長期休暇は一大行事だ。年に一度の「民族大移動」である。この時期は政治も経済も稼働率を下げているので、大きな動きは見られない。

 昔は数ヶ月前から丹念に計画を立てて夏休み旅行を予約したものであるが、今はそのときの気分や天候に合わせて直前に旅行を決める人が多くなったという。インターネットで簡単に情報を得られるし、格安チケットが豊富に提供されているからだろう。パッケージツアーではなく、個性派手作り旅行が流行だとか。

 ドイツ人の最も好む旅行先はドイツ国内で、ドイツ人の約3分の1が国内で休暇を過ごしている。2位はスペイン(14%)、次にイタリア(7,3%)、オーストリア(5,8%)、トルコ(5,7%)が続く。地中海、バルト海、北海が好まれている。ドイツ国内ではバイエルン州が最も人気があり、次がメクレンブルク・フォアポメルン州とシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州。

 短期間の旅行や都市旅行も増える傾向にあるという。2006年はドイツ人旅行者が1回の旅行に支出した金額は平均で837ユーロだが、4500ユーロ以上の 豪華旅行をする人も増えている。ここでも格差が広がっているらしい。

 欧州の15000のホテルを対象に行ったアンケート調査結果によると、最も好まれている客は日本人、米国人、スイス人で、ドイツ人は 5位だった。最もけちな旅行客ではドイツ人が1位だったとか。何となく納得・・・。

 ミュンヘン市内も観光客で賑わっている。特に、黒いチャドルを頭からすっぽりかぶり、全身を覆っているアラブ人女性が多い。ブランド品の並ぶ高級店でせっせとショッピングしている姿はミュンヘンの夏の風物詩になっている。

 最近は土地成金ならぬエネルギー資源成金のロシア人観光客も多くなった。石油と 天然ガスの強さを見せつけられる。アジア人では中国人が多い。昔は夏のマリエン広場は日本人観光客で賑わっていたものだが、今は韓国人か中国人。時代の変遷を想う。

 ドイツでは、2008年 に州選挙、2009年 に総選挙を控えている。夏休みが終わると、長い選挙戦が始まる。バイエルン州では、シュトイバー州首相が退陣して、新しい州首相と党首が選出される。政治家もこの夏休みは今後 2年間の長期戦に備えて英気を養っていることだろう。

 日本では参議院選で自民党が大敗し、政治状況が大きく変わったが、ドイツでも左派新党が勢力を伸ばしており、連邦レベルでも州レベルでも次期政権の 連立の組み合わせが予想できなくなってきた。政権争いの行方やいかん。この秋からのドイツ政治劇はおもしろくなりそうだ。これから毎日のように聞かされる政治家の選挙目当て 丸出しの日和見主義的発言にはうんざりではあるが・・・。

2007年8月6日)

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