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実質所得は20年前と変わらない

  連邦統計局によると、被雇用者の2006年度実質所得は平均で15845ユーロで、20年前の水準に減少した。これは、生活費の上昇が実質賃金の上昇を上回ったことに起因しているという。

 2006年の名目上の賃金は被雇用者一人当たり26736ユーロ(月額2228ユーロ)で、ドイツ統一以来の最高水準であった。19719ユーロ(月額1643ユーロ)だった1991年に比べると、35,6%増加している。但し、2006年の実質賃金は17445ユーロ(月額1454ユーロ)で、1991年(13688ユーロ、月額1141ユーロ)より 27,4%しか増えていない。この期間に消費者物価は 34,4%上昇した。

 実質賃金の伸び悩みは、名目上の賃金から差し引かれる税金と社会保険料が引き上げられたこと、賃上げ率が低かったこと、クリスマス休暇手当てのような追加手当が削減されたことに起因している。

 2006年の所得税と社会保険料の負担は平均で過去最高の9291ユーロに達した。これは1986年(5607ユーロ)比 66%増に相当する。ところが、同期間に名目上の賃金は 48%しか上昇していない。計算上、被雇用者の手元に残る実質所得は月額1320ユーロで、1986年よりも 5ユーロしか増えていない。

 ミュンテフェリング連邦労働相によると、1986年と1991年は実質賃金が名目上の賃金の 69,5%弱であった。ここ10年間は約65%で安定しているという。同相は、1986年と2006年の比較は西独と東西統一後のドイツの比較になるので、正確とはいえないことを指摘した。東西統一後だけで見ると、2006年の実質所得は1997年(15886ユーロ)の水準に低下している。

 また、ミュンテフェリング労働相は、賃金は2000年以来 4,5%しか上昇していないのに、国民所得に占める企業所得及び財産所得の割合は 42%も上昇していることを指摘して、「明らかな不平衡がある」と語った。賃金がもっと経済成長の恩恵を受けなければならないという認識を示した。シュタインブリュック連邦財務相も被雇用者が賃上げの断念、労働時間の延長、フレキシブルな労働時間により経済成長を支えてきたことを強調した。

 名目上の賃金から差し引かれる分で最も大きな割合を占めるのは社会的租税公課である。平均的所得税は4694ユーロ1996年の水準にある。社会保険料負担は被雇用者当たり4597ユーロで、過去最高だった。

 一方、連邦経営者連盟は、これまでのなだらかな賃上げが現在の経済成長と雇用に貢献しているとして、租税と社会保険料の引き下げを政府に求め。納税者連盟も新しい所得税制度連帯税失業保険料引き下げを求めている。

2007年9月26日)

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