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ドイツは大卒者を増やさなければならない

    経済協力開発機構(OECD)は教育報告書の中で、「ドイツは大卒者を増やさなければ、定年退職するエンジニアや教員の不足分を補えなくなる」として、早急に大卒者を増やすよう警告している。大卒者の割合のランキングでドイツは1970年の10位から22位に低下した。OECDは、大学入学者を増やすこと、大学中途退学者を少なくすること、職業訓練修了者が大学に入学しやすくすること、自然科学・技術系の教育を強化することを求めている。

 ドイツでは、2535歳の年齢層における大卒者の割合が22%に過ぎない。OECD平均は約33%である。15歳の生徒では、大学進学を目指しているのは女子が21%、男子が18%と、極めて少ない。韓国では80%、OECD平均は57%。このままでは、定年退職する大卒者を補充できないという。特にエンジニアと教員の不足が深刻化している。

 シャヴァン連邦教育相は、大学入学率を40%に引き上げること、現在35%に達する大学中途退学者の割合を大幅に減らすことを目指していると語った。また、職業訓練修了者に大学の門戸を開くことも検討しているという。

 OECDによると、ドイツでは5564歳のエンジニア(専門単科大学及び総合大学卒業者)100人に対して、2534歳の大卒エンジニアは90人である。OECD平均は100190。教員ではドイツが10060なのに対して、OECD平均は100230である。また、ドイツでは、大学卒業生1000人当たりエンジニアは32人であるが、OECD平均は44人。

 2005年の大卒エンジニアの割合を国別に比較すると、日本が7,3%で1位、次にスウェーデン(6,8%)、イタリア(6,2%)が続く。ドイツは3,2%、OECD平均は4,4%だった。

 2534歳の従業員10万人の内、自然科学系大卒者は1045人で、OECD平均(約1300人)を下回っている。ドイツ経営者連盟は、数学・情報科学・自然科学・技術系の専門者不足は経済成長と技術革新の大きな障害になると危惧している。

 OECDはドイツ特有の問題として教育における社会的格差を指摘している。大学生に占める大卒者の子供の割合はその人口に占める割合の2,2倍である。労働者や移民の子供が大学進学コースに進むのが難しいドイツの学校制度を批判している。

2007年9月26日)

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