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連邦憲法裁判所、通勤交通費控除規定の改正は違憲

   

    連邦憲法裁判所は12月9日(火)、大連立政権が2006年に改正した通勤交通費控除(Pendlerpauschale)規定(最初の20kmの控除廃止)は基本法に違反するとする判決を下した。

   立法者は2010年までに新しい規定を定めなければならず、新規定の発効までは改正前の旧規定(通勤距離1km当たり30セント)が適用される。但し、立法者は改正前の形の通勤交通費控除制度を再び導入することを義務付けられていないとしている。

   連邦政府は2006年の法律改正により、2007年1月1日からは住居と職場間の距離が20km以下の場合には被雇用者の通勤交通費の控除を廃止していた。通勤距離21kmから1km当たり30セントの控除対象になった。

   連邦憲法裁判所は、現行規定は基本法の平等の原則(税負担の公平な分配)に違反すると判断した。連邦政府の財政立て直しという理由づけは近距離通勤者と長距離通勤者の不公平な扱いを正当化するには十分でないとしている。従って、現行の法律が修正されるまでは旧法が再び適用される。連邦財政裁判所と2つの財政裁判所も同じ判決を下していた。

   この判決により、被雇用者は2007年と2008年も住居と職場間の通勤路において最初の1kmから通勤交通費を控除することができる。連邦政府は通勤交通費を控除できなかった納税者に直接返済することを明らかにした。国の負担は総額約75億ユーロに達する見通しである。

   メルケル連邦首相は、「改正前の通勤交通費控除規定の保持は現在の経済状況への正しい対応だ」と語った。厳しい経済状況を鑑み、直接に納税者に払い戻すことで、一つの景気刺激策とする見解である。シュタインブリュック連邦財務相は、払いすぎた税金を納税者に迅速に返却するよう税務局に指示すると発表した。2007年分は来年1月~3月に払い戻す。財務省の推定では、払い戻し額は平均で350ユーロ。

   シュタインブリュック財務相は、2010年以降の新しい規定がどのような内容になるかは未定だと語った。連邦憲法裁判所が制度を抜本的に変えることも可能と指摘していることから、同財務相は通勤交通費控除を代替なしに完全廃止することも合憲と解釈している。

   経済団体、自動車産業、労働組合は連邦憲法裁判所の決定を歓迎した。それに対して、環境保護団体は通勤交通費控除を完全に廃止するよう政府に求めている。

2008年12月15日)

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