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ドイツには保育所が少なすぎる

   

    ユニセフの調査結果によると、ドイツは両親手当導入にもかかわらず、小学校入学前の幼児教育の国際比較で中位に留まっている。調査した工業国25カ国のうち、ユニセフが設定した最低基準10事項をすべて達成したのはスウェーデンだけだった。

   2位はアイスランド(9つ達成)、次にデンマーク(8)、フィンランド(8)、フランス(8)、ノルウェー(8)、ベルギー(6)、ハンガリー(6)、ニュージーランド(6)、スロベニア(6)、オーストリア(5)、オランダ(5)、英国(5)が続く。ドイツは両親手当導入後も5つの基準だけを達成して14位。日本は4つ達成して16位、米国は3つ達成して22位。23位がオーストラリア(2)、24位がカナダ(1)、25位がアイルランド(1)だった。

   ユニセフは、3歳未満児のうち約10人に1人だけが保育施設に通うことができるドイツの現状を批判している。欧州連合ではこの割合が3分の1である。保育施設の整備が遅れているドイツの家族政策を経済協力開発機構(OECD)も繰り返し批判してきた。

   ドイツは国内総生産の3%を家族政策に支出しており、平均を上回るお金を家庭に直接支給しているが、保育施設への支出は0,4%に過ぎない。それに対して、スカンジナビア諸国とフランスでは、国内総生産の最低1%が6歳未満の子供の保育に支出されている。

   世界的に、家庭以外で保育される3歳未満児の割合が上昇しているが、ドイツは改善しているものの、オーストリアとハンガリーに並んで、その増加幅が最も少ない。ドイツは遅くとも2013年には3歳未満児の3分の1に保育施設を提供する計画である。

   ユニセフは、保育所と幼稚園の職員及び保育ママの職業教育と報酬でドイツが大きく立ち遅れていることも指摘している。また、ドイツにおける子供の貧困も批判している。子供の16%が平均的所得の50%以下の家庭で生活している。25カ国のうち、子供の貧困率が10%以下なのは10カ国だけだった。

   よく整備された保育所と幼稚園は子供の社会的・感情的・言語的・精神的発展に大きく貢献するが、ドイツの現状はまだそれに程遠い。ドイツ経済研究所(DIW)の調査結果によると、貧しい家庭と移民の家庭が子供を保育施設に通わせない傾向にあり、小学校入学前の早期幼児教育を特に必要としているこれらの家庭の子供が保育施設に通っていないことに大きな問題がある。これらの家庭が子供を保育施設に通わせるように促す特別な努力が必要であるという。

   フォン・デア・ライエン連邦家族相は、「ユニセフの調査結果には驚いていない」と語った。この調査結果は、保育施設の整備拡張を粘り強く主張していかなければならないことを示唆している。ドイツは幼児保育サービスと保育ママ及び保育所職員の職業教育を改善しなければならない。ドイツが国際比較で中位にあるのは、両親手当の導入と4歳以上の子供の保育施設の整備のお陰であるという。

2008年12月15日)

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