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連邦内閣、相続法改正案を閣議決定

  連邦内閣は1月30日(水)、相続法改正案を閣議決定した。同改正により、被相続人は遺言作成の際に、従来以上の権利を取得する。また、被相続人を介護した相続人に対する補償が拡充される。その要旨は次の通りである。

     介護の補償の改善: 相続人が被相続人を介護した場合には、その介護が従来以上に考慮される。相続人が介護のために自らの所得を放棄しなかった場合でも介護に対する補償を取得する。従って、年金生活者、無職者でも補償を得られる。また、卑属(子供や孫)ではなく、兄弟姉妹が介護した場合でも同様に補償を得られる。現行法では、被相続人が介護した相続人に対する補償を遺言に明記した場合にのみこれが可能である。現行法では、相続法上の補償請求権は、介護のために自らの職業上の所得を放棄して(休業、休職、退職など)長期に渡って介護した卑属のみにある。介護補償額(介護サービスの評価)は法定介護保険の介護サービスを基準とし、遺産から差し引かれる。

     遺留分剥奪理由の改正: 遺言または相続契約により法定相続から除外された相続人のうち、被相続人の卑属(子供と孫)または両親(子供がいない場合)、配偶者、登記済共同生活パートナー(同性パートナー)は法定相続分の一定割合(法定相続分の2分の1)を相続人から請求できる遺留分権がある。改正案では、この遺留分権を剥奪できる条件が統一化され、剥奪理由は遺留分権者すべてに同様に適用される。また、執行猶予なしの1年以上の刑を受けた身内の者からは遺留分権を剥奪できる。「不名誉かつ不道徳な素行」という遺留分剥奪理由は削除される。

     遺産支払猶予の拡大: 現行法では、他の相続人にその遺留分を払うために、相続した会社や不動産を売却しなければならないケースが多い。改正案では、一人の相続人だけが会社ないし個人住宅を引き受ける場合には、他の相続人に遺留分を支払う猶予期間が与えられるなど、支払猶予条件が緩和される。

     遺留分補充請求権の段階的な除斥期間: 現行法では、被相続人の贈与は相続人または受贈者に対する遺留分補充請求権に全額考慮される(贈与された分も遺産に含まれる)。但し、贈与は10年経てば考慮されない。改正案では、贈与が遺留分補充請求権の算定で考慮される割合が段階的に低下していく。相続開始前の1年間に受けた贈与はその算定に100%考慮される。2年前の贈与は90%、3年前は80%と、相続開始から過去に遡って1年ごとに10ポイントずつ減少していく。

2008年2月11日)

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