オバサンの独り言
謝肉祭(カーニバル)が終わり、四旬節に入った。復活祭前の
この期間に飲むビールが
Fastenbier (ファステン(断食)ビール!)だ。麦汁エキス濃度が ドイツでは伝統的に修道院がビールを醸造していた。つつましい食事を補う栄養豊富な飲み物として、修道士はこの聖なる(?)自然の恵みをありがたく頂戴していたのである。しかし、ビールが修道士だけでなく、一般市民にも美味しかったのはいうまでもない。聖なるビール醸造はいつしか修道院のビジネスになった。断食をしない一般市民も四旬節にはファステンビールを飲むのがバイエルンの習慣になっている。
「修道士とファステンビール」は実にバイエルンらしいと思いきや、ファステンビールが属するボックビール(Bockbier)の発祥地はバイエルンではないのだそうだ。何と、
発祥地は北ドイツ、ハノーバー近くのアインベックで、そこで醸造されたアインベッカー・ビールが最初のボックビールである。すでに
ちなみに、ボックビールないしシュタルクビール(Starkbier)はビールの種類で、麦汁エキス濃度が
話は戻って、当時のバイエルンの公爵はこのアインベッカー・ビールにゾッコン惚れ込んで輸入(!)していたのだが、なんせお金がかかる。そこで、ヴィルヘルム 5世はミュンヘンでアインベッカー・ビールを醸造させようと、かの有名なホーフブロイハウス(宮廷ビール醸造所)を造った(完成
ビールを飲むと太るといわれているが、専門家によれば、それは迷信なのだとか。1リットルのビールは平均で ビール腹(Bierbauch)というが、お腹が出るのはビールそのものに原因があるのではないらしい。但し、ビールは食欲をそそる。脂肪の多いこってりした食事に はビールが合う。ご存知のように、シュヴァインスハクセ(豚のすね肉)や焼きソーセージを食べる時にビールは欠かせない。ビールが食欲をそそり、脂っこい食事が飲酒量を促すという相乗効果の結果がビール腹ということだろう。
連邦政府が発表した「ドイツ人の食生活」調査結果によると、ドイツでは男性の 教育水準が高くなると、肥満の割合が低下し、所得が高くなると、BMI が低下するという調査結果から、社会的格差と肥満の関係が指摘されている。また、正しい食生活の知識が不足していることも肥満化の原因であるという。 ビールは消化が良く、栄養豊富な健康飲料であるが、アルコールには注意しなければならないと醸造専門家はいう。健康なものでも節度を過ぎれば不健康 というわけだ。医学者は、男性は 1日半リットル、女性は 4分の 1リットルまでにするよう呼びかけている。 濃い黄金色のコクのあるファステンビールは味わうビールである。のどの渇きを癒すため、酔うためのビールではない。 じっくりとかみ締めながら飲む断食のビールである。一度お試しあれ。 (2008年2月11日)
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