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年金、今年7月1日に1,1%引き上げ

 連邦政府は3月14日(金)、今年 7月1日に年金を 1,1%引き上げると発表した。45年間平均的所得のあった平均的年金受給者の増額は月額 13,05ユーロ。2009年も 0,6%の引き上げが予定されている。2007年の引き上げ率は 0,54%だった。年金受給者は約2000万人。

 本来の算定よりも高い引き上げ率を達成するために、政府は年金算定方式のリースター要素を 2年間停止する(年金算定方式の変更がなければ、引き上げ率は 0,46%だった)。ショルツ連邦労働相は、年金生活者も経済成長の恩恵を受けるべきだとして、算定方式の変更を弁明した。

 しかし、今年のインフレ率は 2,3%と予測されており、7月には法定介護保険料率が 1,95%に 0,25ポイント引き上げられることから、年金生活者の手元に残る金額は必ずしも増えそうにない。

 年金引き上げに伴い、年金と連結している失業手当 II 及び社会扶助も 7月1日に 1,1%引き上げられる。シュタインブリュック連邦財務相によると、失業手当引き上げによる今年の連邦の負担は 1億5000万ユーロになるという。年金金庫は今年が 6億5000万ユーロ、来年は 195000万ユーロの負担を見込んでいる。

 連邦政府は年金引き上げ分を年金保険の変動準備金から拠出する計画である。現在、変動準備金は 115億ユーロ(支出の平均 0,7ヶ月分)である。政府はこれまで、変動準備金を支出の平均 1,5ヶ月分に引き上げることを目指していたが、今後は 2,5ヶ月分に増やすことを目標としており、この目標を達成してから年金保険料率を引き下げる計画である。ショルツ連邦労働相は2015年に 19,3%に引き下げることが可能と楽観的に見ている。

 若い世代の議員や野党、経済界は、年金算定方式の変更を年金保険積立金への無責任な介入として厳しく批判している。持続性のある積立金を増やす代わりに、積立金に手を出す引き上げは、今のバイエルン州議会選挙と来年の総選挙の票集めのための措置であり、年金改革の後退だと批判している。

2008年3月19日)

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