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連邦議会、ES細胞法改正案を可決

  連邦議会は4月11日(金)、ES細胞研究の規制を緩和するES細胞法改正案を可決した。賛成 346票、反対 228票、棄権 6票だった。この採決では、党の強制はなく、各議員は自らの良心と生命倫理に基づいて投票した。社会民主党と自由民主党の大半の議員が賛成したのに対して、緑の党はほとんど全員が反対した。キリスト教民主・社会同盟と左派新党の議員は賛否に分かれた。

 ES細胞法改正により、研究者は2007 5月 1日以前に発生したES細胞を外国から輸入して研究することが可能になる。ES細胞法の期日はこれまでの 2002 1月 1日から 2007 5月 1日に延期される。

 但し、人工授精の際に残ったヒト胚からのES細胞の取得はドイツ国内では引き続き禁止される。期日以降に発生したES細胞を使って外国で研究するドイツ人の研究者に対する処罰の予告は廃止される。

 連邦議会は、上記法案を採決する前に、初期段階のヒト胚から取り出したES細胞の研究を完全に禁止する法案と完全に自由化する(期日の廃止)法案を否決した。

 メルケル連邦首相、シャヴァン連邦研究相、ツィプリース連邦法務相のほか、ドイツ研究共同体(DFG)、ドイツ工業連盟(BDI)、社会民主党(SPD)がES細胞法改正案の可決を歓迎したのに対して、カトリック教会は大きな懸念を示した。

 シャヴァン連邦研究相は、「期日の延期はES細胞研究に伴う生命倫理のジレンマを解決することにはならないが、責任を自覚した研究のための狭い回廊は保たれる」と語った。「堤防の決壊」ではないことを強調した。

2008年4月15日)

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