ドイツのニュース

幼稚園費の格差が大きい

 

 ドイツでは、保護者が負担する幼稚園利用料が住んでいる市町村によって大きく異なる。保護者が高所得者であっても無料である市もあれば、低所得者でも負担が重い市もある。これは、雑誌「エルテルン(親)」と新社会市場経済イニシアティブの委託で行われた全国幼稚園利用料調査で明らかになった。全国の100の大都市における幼稚園利用料(半日)と保護者の所得を調査した。

 幼稚園利用料が最も安いのはハイルブロン市で、今年から保護者の負担は無料になった。それに対して、コットブス市では年間所得(名目上)が 2万5000ユーロ以下の保護者も二人の子供を幼稚園に通わせると 1428ユーロ(年間)を負担しなければならない。これは所得の 6%弱に相当する。高所得者の場合の地域ごとの格差はさらに大きく、無料から 3888ユーロ。

 年間所得(名目上)が 4万5000ユーロの家庭が二人の子供(3,5歳と 5,5歳)を幼稚園に通わせる場合の年間利用料を比較すると、最も低いのがハイルブロン市で無料、次がツヴィッカウ市の 363ユーロ、ヴィースバーデン市の 396ユーロ、ダルムシュタット市の 522ユーロ、ゲッティンゲン市の 534ユーロが続く。最も高いのはブレーメンで 3096ユーロ、次がリューベックの 2876ユーロ、コットブスの 2672ユーロ、フレンスブルクの 2591ユーロ、イェーナの 2557ユーロ。

 雑誌「エルテルン」の編集長は、「大学授業料(年額約1000ユーロ)導入の際には大きな議論が巻き起こったが、幼稚園利用料の大きな格差については誰も関心を示さないのは理解しがたい」と語った。幼稚園ですでに機会均等が崩されていると指摘している。

 貧しい家庭では、高額な幼稚園利用料を払うことができないために、母親が職場復帰せずに、家で子供を保育する傾向が見られる。そこで、同編集長は、半日の幼稚園利用を無料にするよう求めている。

 また、この調査の専門家は、幼稚園を運営している市が利用料についての情報を十分に提供していないことを批判している。情報不足ゆえに、最初から子供を幼稚園に通わさない保護者が多いという。

 幼稚園利用料でも南北格差が顕著である。北ドイツの方が南ドイツよりも利用料が高い傾向にある。これは、南ドイツでは大きな財政赤字を抱える市町村が少ないことに起因している。ドイツでは、市町村が幼稚園利用料を決定している。財政赤字と幼稚園利用料はほぼ比例して上昇している。

2008年4月15日)

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